『天使のかいかた』は、なかがわちひろ作・絵による絵本で、2002年に理論社から発行されました。主人公のさちは、友だちがペットを飼っているのを羨ましく思っていましたが、ある日、原っぱで小さな天使を見つけ、自分のペットとして飼うことにします。天使の食べ物は、さち自身の「おはなし」。さちは毎日、自分の体験や気持ちを天使に語りかけ、次第に自己表現や友だちとの関係を深めていきます。この物語は、子どもの純粋な想像力と成長を温かく描いており、読者に優しい気持ちを届けてくれます。
略歴
なかがわちひろ
なかがわちひろ(中川千尋)は、1958年に関東地方で生まれ、転勤族の家庭で育ちました。小学4年生の秋から中学3年生の秋まで仙台で過ごし、高校時代にはアメリカ・サンディエゴに1年間留学しました。東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業後、劇団テアトル・エコーの座付き翻訳者としてコメディの翻訳に従事しましたが、子どもの本に強い関心を抱き、福武書店児童書編集部での翻訳活動を開始しました。以降、児童文学の作家、画家、翻訳家として多彩な作品を手がけています。翻訳作品には『ふしぎをのせたアリエル号』や『ちいさなあなたへ』などがあり、創作絵本には『のはらひめ』や「おたすけこびと」シリーズなどがあります。受賞歴も豊富で、『どうぶつがすき』で日本絵本賞翻訳絵本賞、『天使のかいかた』で日本絵本賞読者賞、『かりんちゃんと十五人のおひなさま』で野間児童文芸賞を受賞しています。彼女の作品は、子どもの豊かな感性を育むものとして高く評価されています。
おすすめ対象年齢
この絵本は、小学校低学年から中学年(6~10歳)のお子さんにおすすめです。物語の内容や文章の長さが、この年齢層の読者に適しており、自己表現や友だちとの関係に悩む子どもたちに共感を与えるでしょう。
レビュー
『天使のかいかた』は、子どもの純粋な心と想像力を巧みに描いた作品です。主人公のさちが天使との交流を通じて自己成長していく様子は、読者に温かい感動を与えます。特に、天使の食べ物が「おはなし」であるという設定はユニークで、子どもたちに自己表現の大切さを教えてくれます。挿絵も柔らかく美しく、物語の世界観を豊かに表現しています。全体として、子どもだけでなく大人も楽しめる、心に残る一冊です。