岸田今日子さんが文を、佐野洋子さんが絵を手がけた絵本『パンツのはきかた』。「はじめに かたあし いれるでしょ」というフレーズから始まり、こぶたの女の子が真剣な表情でパンツをはく様子を、ユーモラスに描いています。歌のようなリズミカルな文章と、佐野洋子さんらしい独特で力強いタッチの絵が、なんとも言えない面白さを作り出しています。この作品は2011年に福音館書店から出版されました。子どもたちの日常のひとコマを、こんなにも楽しく表現しているなんて、すごいです。
略歴
岸田今日子
岸田今日子(きしだきょうこ,1930年 – 2006年)さんは、女優であり、児童文学作家としてもご活躍されました。文学座出身で、演劇界の第一線で活躍するかたわら、テレビドラマや映画でも個性的な役柄を数多く演じられました。特に、声優としては『ムーミン』のムーミン役で知られ、その独特の声は多くの人々に愛されました。児童文学の分野では、『パンツのはきかた』などの作品も手掛けています。彼女の作品は、独自の視点とユーモアに満ちていて、子どもの心を惹きつけます。惜しくも2006年に亡くなりましたが、その才能は今もなお多くの作品を通して生き続けています。
佐野 洋子(絵)
佐野 洋子さん(さの ようこ、1938年 – 2010年)は、日本の絵本作家、エッセイスト、翻訳家として知られています。中国・北京で生まれ、幼少期を北京や大連で過ごしました。戦後、家族とともに日本に引き揚げ、山梨県や静岡県で育ちました。武蔵野美術大学デザイン科を卒業後、白木屋デパートの宣伝部でデザイナーとして勤務しました。その後、ドイツのベルリン造形大学でリトグラフを学び、帰国後に絵本作家としての活動を開始しました。代表作『100万回生きたねこ』(1977年)は、哲学的な内容で大人からも高い評価を受けています。また、エッセイや『ゆかいなゆうびんやさんのクリスマス』の翻訳など海外絵本の翻訳も手がけ、多彩な才能を発揮しました。2003年には紫綬褒章を受章し、2004年にはエッセイ集『神も仏もありませぬ』で小林秀雄賞を受賞しています。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、だいたい2歳くらいからのお子さんにおすすめです。文章がとてもリズミカルで、赤ちゃんでも楽しめる繰り返しが多いので、読み聞かせにぴったりです。また、パンツをはくという、生活の身近なテーマなので、子どもたちが自分のこととして興味を持ちやすいです。パンツをはく練習を始めたばかりのお子さんにも、きっと楽しく響くと思います。
レビュー
岸田今日子さんのリズミカルな文章と、佐野洋子さんの描くこぶたの表情が最高に面白いです。パンツをはくだけなのに、こんなにも真剣で、ちょっと不器用な感じが、すごく可愛くて笑っちゃいます。特に、両足がパンツに入った後の、ドヤ顔(?)みたいな表情がたまりません!子どもがパンツをはく練習をする時に、これを見せたら、きっと嫌がらずに楽しく取り組んでくれるんじゃないかなと思いました。日常のちょっとした出来事が、こんなにユーモアたっぷりに描かれているなんて、さすがですよね。


