それからどうなるの?/トーベ・ヤンソン

『それからどうなるの?』は、トーベ・ヤンソン作・絵、渡部翠さん訳で1991年に講談社から日本語版が発売されたムーミン絵本。原題はHur gick det sen?で、1952年にフィンランド(スウェーデン語)で初版発行されました。ムーミン、ミムラねえさん、そしてはぐれたちびのミイが、ページにあいた穴をくぐりながら迷路のようにすすみ、各場面でちびミイを探す大冒険を繰り広げます。穴の仕掛けを通して次のシーンがチラ見えするワクワク感が楽しく、ヤンソンならではの色彩豊かでユーモア満点な世界観に引き込まれます。透けて見える次の展開が想像力をかき立てる、唯一無二の絵本体験です。

略歴

トーベ・ヤンソン

トーベ・マリカ・ヤンソン(1914年–2001年)は、フィンランド・ヘルシンキ生まれの作家・画家で、「ムーミン」シリーズを生み出したことで世界的に知られています。芸術一家のもとで育ち、1930年代にはスウェーデンやパリで美術を学びました。1940年代からムーミンの小説を発表し、1952年に絵本『それからどうなるの?』で絵本作家としてもデビュー。独特の穴あきページや大胆な色使いで高く評価され、後に漫画、展覧会、公共アートと幅広く活躍。またコミック連載も手がけ、ムーミンを国際的キャラクターへと押し上げました。

渡部 翠(訳)

渡部翠(わたなべみどり)さんは日本で活躍する翻訳家・児童書エディターで、ムーミン絵本を多く翻訳しています。講談社およびほか出版社で北欧絵本の日本語訳を数多く手がけ、『それからどうなるの?』の翻訳では、元の穴あき構成や色彩の意図を大切にしつつ、日本の子どもたちにやさしく届ける工夫がされています。また工作絵本や仕掛け絵本の企画にも関わっており、子ども向けの本づくりに深い愛情を持つことで知られています。

おすすめ対象年齢

対象年齢は3歳〜8歳くらいが目安。この年ごろの子にピッタリなのは、穴をくぐって話が進む仕掛けと冒険的な展開があるから。ミイを探すドキドキ感や、ムーミン谷ならではのキャラに出会う楽しさ、次のページがチラ見できるワクワク感は子ども時代の好奇心を刺激します。読み聞かせだけじゃなく、自分でめくりながらじっくり楽しめる一冊です。

レビュー

久々にページを開いてワクワクしました!穴が開いた仕掛けで「次どうなる?」って気になり続ける構造が絶妙で、子どもだけじゃなく大人もついついページをめくる手が止まらなくなります。ムーミンとミムラねえさんがミイを探す旅は少しせつなく、でもヤンソンらしいユーモアと色彩の世界にホッとする瞬間もたくさん。翻訳の渡部さんは、小さな仕掛け絵本の面白みを日本語でもそのまま活かしていて、流れるように読めちゃう。仕掛け絵本って飽きがちなことも多いのですが、これは違う!ムーミンの世界にすっぽり浸かれる素敵な一冊です。