『はやくしなさい!』(2022年・金の星社)は、子育て中の親なら誰もが一度は口にしたことのある“はやく!”がテーマの絵本。朝から「早く着替えて」「早く食べて」と言ってしまうママ。でも、ある日子どもがふと「なんでママは“はやくはやく”って言うの?」と問いかけます。そこでママが伝える思いは、ちょっぴり切なくて、あたたかくて……。中川ひろたかさんの素直な言葉と、村上康成さんのやさしい絵が心にしみる、親子に寄り添う絵本です。
略歴
中川 ひろたか
中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。
村上 康成(絵)
村上康成(むらかみやすなり)さんは1955年岐阜県生まれ。魚や森など自然をテーマにした作品が多く、「自然派アーティスト」としても知られます。代表作に『ピンクとスノーじいさん』や『なつのいけ』などがあり、1995年には『ようこそ森へ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。中川ひろたかさんとのコンビでも多くの絵本を手がけ、子どもたちの成長や日常をやさしく描き出しています。個展や講演活動も精力的に行い、絵本の魅力を広げ続けています。
おすすめ対象年齢
対象年齢は4歳〜小学校低学年くらい。親子のやりとりが中心のストーリーなので、少し言葉の理解が進んだ年齢がより楽しめます。子どもは「あるある!」と共感し、大人は自分を重ねてハッとさせられる内容。読み聞かせにもぴったりです。
レビュー
子育て中の親にはグサッと刺さる一冊です(笑)。「早くして!」って、毎日つい言ってしまうけど、その背景には「大事だから」「間に合ってほしいから」っていう愛情があるんですよね。子どもの問いにちゃんと向き合って答えるママの姿がじんわり心に響きます。読んだ後には、いつもの朝の時間がちょっと変わるかも。村上康成さんの絵も穏やかで、せかせかした空気がふんわりやわらかくなる感じ。親子でぜひ読んでほしい絵本です。