もうぬげない/ヨシタケシンスケ

ヨシタケシンスケ作の『もうぬげない』は、2015年に発行されたユーモアあふれる絵本です。主人公の男の子がシャツが脱げなくなったことから繰り広げられる、子どもの独特な発想が描かれています。「もう一生ぬげないかもしれない」と不安に思う一方で、脱げないままの生活を前向きに楽しもうとする姿に、思わず笑ってしまいます。大人も子どもも共感できる、ちょっとした困難に立ち向かう柔軟な発想と、ユーモアの大切さを教えてくれる作品です。シンプルで温かみのあるイラストと、テンポの良いストーリーが魅力。読み聞かせにもぴったりの一冊です。

略歴

ヨシタケシンスケ(本名:吉竹伸介)さんは、1973年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。筑波大学芸術専門学群を卒業。さらに、同大学大学院芸術研究科総合造形コース修士課程を修了しています。
2013年、初のオリジナル絵本『りんごかもしれない』を発表し、独特の視点とユーモラスな表現で注目を集めました。同作はMOE絵本屋さん大賞第1位や第61回産経児童出版文化賞美術賞を受賞しています。
その後も、『ぼくのニセモノをつくるには』、『もうぬげない』『このあとどうしちゃおう』など、次々と話題作を発表。特に『もうぬげない』は、2017年にボローニャ・ラガッツィ賞特別賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得ています。彼の作品は、日常の何気ない疑問や想像をユーモラスに描き、子どもから大人まで幅広い世代に共感されています。また、児童書の挿絵や装画、エッセイの執筆など、多岐にわたる分野で活躍しています。
2022年6月時点で、彼の絵本の累計発行部数は約600万部に達し、10か国以上で翻訳出版されています。2児の父でもあり、家族との日常から得られるインスピレーションが作品に反映されています。その独特の発想と温かみのある作風で、日本を代表する現代絵本作家としての地位を確立しています。

おすすめ対象年齢

ヨシタケシンスケ作の『もうぬげない』の対象年齢は、3歳から小学校低学年(3~8歳)くらいが目安とされています。簡単な文章とユーモラスなイラストが、小さな子どもにもわかりやすく楽しめる内容です。一方で、大人が読んでも共感できる深いテーマやクスッと笑えるユーモアがあり、幅広い年齢層に支持されています。特に、子どもの独特な発想に共感する親子での読み聞かせに最適です。初めての絵本としても、繰り返し楽しめる一冊です。

レビュー

ヨシタケシンスケ作の『もうぬげない』は、子どもの視点を見事に捉えたユーモラスで心温まる絵本です。「シャツが脱げない」という一見単純な出来事を、主人公の男の子が想像力豊かに捉え、次々とユニークな発想を展開する様子がとても魅力的です。その純粋で自由な思考には、子どもだけでなく大人もハッとさせられます。特に「困難にぶつかった時にどう楽しむか」というポジティブなメッセージが印象的で、笑いながらも考えさせられる内容でした。イラストもシンプルでありながら温かみがあり、細部に遊び心が詰まっています。日常の中に潜む小さなドラマを描き出すヨシタケシンスケさんの才能を改めて感じる一冊でした。家族で楽しむのにぴったりの絵本です。

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