きみなんかだいきらいさ/ジャニス・メイ・ユードリー

『きみなんかだいきらいさ』は、ジャニス・メイ・ユードリー作、モーリス・センダック絵、こだまともこ訳の絵本です。原作は1961年にアメリカで出版され、日本では1975年に冨山房から刊行されました。物語は、仲良しのジョンとジェームズが些細なことでけんかをし、感情をぶつけ合いながらも、最終的には仲直りする姿を描いています。センダックのシンプルながら表情豊かなイラストが、子どもの心の動きを巧みに表現しています。

略歴

ジャニス・メイ・ユードリー

ジャニス・メイ・ユードリー(Janice May Udry)は、1928年にアメリカ・イリノイ州で生まれました。大学卒業後、シカゴ市内の保育園で勤務し、その経験から子どもの心理や成長に深い関心を抱くようになりました。この関心が、彼女の絵本作家としてのキャリアの礎となりました。彼女の作品は、シンプルでありながら深いメッセージ性を持ち、子どもたちだけでなく大人にも共感を呼び起こします。物語は、日常の中に潜む美しさや喜びを再発見させてくれるものが多く、世代を超えて愛されています。子どもの純粋な視点と感性を尊重し、その魅力を余すところなく伝えるものばかりです。彼女の絵本は、親子での読み聞かせや教育現場でも広く活用され、多くの人々に影響を与え続けています。

モーリス・センダック(絵)

モーリス・センダック(Maurice Sendak、1928年 – 2012年)はアメリカの絵本作家、イラストレーターです。ニューヨークのブルックリンでポーランド系ユダヤ人の家庭に生まれ、幼少期から絵を描くことに情熱を注いでいました。センダックは、子どもの内面や感情を描くことに優れ、特に子どもの「怒り」や「反抗心」といった感情をテーマにした作品で独自のスタイルを確立しました。『かいじゅうたちのいるところ』の成功により、彼は世界的に著名な絵本作家となり、その後も多くの作品で幅広い年齢層に影響を与えました。

こだま ともこ(訳)

こだまともこ(本名:小玉 知子、旧姓:相磯)は、1942年、東京都に生まれました。1964年、早稲田大学文学部英文科を卒業後、文化出版局に入社。1967年に同社を退社し、翻訳家としての道を歩み始めました。主に英米の児童文学作品の翻訳を手掛け、その数は多岐にわたります。代表的な翻訳作品には、シャーロット・ゾロトウ作『うさぎさんてつだってほしいの』や、ジャニス・メイ・ユードリー作『きみなんかだいきらいさ』などがあります。また、ローラ・インガルス・ワイルダーの「小さな家」シリーズの翻訳も手掛け、児童文学の普及に貢献しました。翻訳活動のみならず、自身でも創作活動を行い、『おばあさんのじてんしゃ』や『3じのおちゃにきてください』などの作品を発表しています。その功績が認められ、2008年には日本国際児童図書評議会賞を受賞しました。こだま氏の作品は、子どもたちの心に寄り添い、豊かな感性を育むものとして高く評価されています。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、4歳から5歳程度とされています。子どもたちが日常で経験する友人とのけんかや仲直りの過程を描いているため、同年代の子どもたちに共感を呼び起こしやすい内容となっています。

レビュー

本作は、子どものけんかと仲直りをリアルに描写しており、幼い読者にとって共感しやすい内容です。センダックのイラストは、シンプルながらも感情豊かで、子どもたちの心の動きを巧みに表現しています。読み聞かせを通じて、友情の大切さや感情の表現方法を学ぶ良い機会を提供してくれる作品です。

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