
アッティリオ・カッシネリ作・絵、さとうのりか訳の絵本『3びきのこぶた』は、イギリスの昔話を原作とした作品でイタリア語版のタイトルは『I tre porcellini』、2017年にイタリアで刊行されました。日本語版は岩崎書店より2018年に刊行されました。この絵本では、3匹のこぶたがそれぞれ異なる素材で家を建て、オオカミの襲来に立ち向かう物語が描かれています。カッシネリのシンプルで温かみのあるイラストが特徴で、幼い読者にも親しみやすい内容となっています。
略歴
アッティリオ・カッシネリ
アッティリオ・カッシネリ(Attilio Cassinelli)は、1923年にイタリア・ジェノヴァで生まれ、2024年6月7日にノーヴィ・リーグレで逝去しました。彼は画家、デザイナー、イラストレーターとして活躍し、特に1970年代から児童書の分野で革新的な作品を多数発表しました。彼の作品は幾何学的で明快な線と鮮やかな色彩が特徴で、子どもたちの視覚的興味を引きつけるスタイルで知られています。代表作には『ピノッキオ』の挿絵や、「ミニフィアベ」シリーズなどがあり、これらは多くの言語に翻訳され、国際的な評価を受けています。また、彼のイラストは日本でも人気があり、文具や衣類などにも使用されました。2020年にはローマの国立近代美術館で個展「Evergreen. Storia di Attilio」が開催され、彼の長年の功績が称えられました。
さとう のりか(訳)
さとうのりか(佐藤 範佳)さんは、宮城県出身の翻訳者であり、イタリア語講師としても活躍しています。もともとは栄養士として勤務していましたが、イタリア料理への関心からイタリア語を学び始め、ペルージャ外国人大学の伊語・伊文化教育学部を卒業しました。現在は、尚絅学院大学の生涯学習講座でイタリア語を教えるほか、通訳や翻訳の仕事も手がけていらっしゃいます。訳書には『こころやさしいワニ』、『あかずきんちゃん』『みにくいアヒルのこ』などがあり、イタリア文化を紹介する料理会や映画会も主催されています。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、0歳から4歳頃とされています。シンプルなストーリー展開と繰り返しの要素が、幅広い年齢層の幼い子どもたちの興味を引き、理解しやすい内容となっています。
レビュー
私の感想として、この絵本は幼児向けに最適な作品だと感じました。カッシネリのイラストはシンプルながらも表情豊かで、子どもたちの想像力を刺激します。物語の繰り返しの構成は、子どもたちが次の展開を予測しながら楽しむことができ、読解力の向上にもつながります。また、異なる素材で家を建てるこぶたたちの行動は、努力や工夫の大切さを自然と教えてくれます。親子で一緒に読むことで、コミュニケーションの時間を持つことができ、読み聞かせの楽しさを再認識させてくれる一冊です。