
『どこいったん』(原題:I Want My Hat Back)は、カナダ出身の絵本作家ジョン・クラッセンによるデビュー作で、2011年にアメリカで刊行されました。日本語版は2011年にクレヨンハウスより出版され、関西弁の味わい深い訳を長谷川義史さんが手がけています。帽子をなくしたクマが、森の仲間たちに「ぼくのぼうし、しらん?」と尋ねて回る、シンプルながらもユーモアと緊張感に満ちた物語。ミニマルな構成と独特の間が読者をひきつけ、最後には思わずクスリと笑ってしまう展開が待っています。
略歴
ジョン・クラッセン
ジョン・クラッセン(Jon Klassen)は、1981年、カナダ・マニトバ州ウィニペグ生まれの絵本作家・イラストレーター・アニメーターです。オンタリオ州ナイアガラフォールズで育ち、2005年にシェリダン・カレッジでアニメーションを学び卒業後、ロサンゼルスへ移住しました。映画『カンフー・パンダ』(2008年)や『コララインとボタンの魔女』(2009年)などのアニメーション制作に携わった後、絵本の世界へと転身しました。2011年に初の自作絵本『どこいったん』を発表し、続く『This Is Not My Hat』(2012年)では、アメリカのコールデコット賞とイギリスのケイト・グリーナウェイ賞を同一作品で受賞する快挙を達成しました。現在はロサンゼルス在住で、妻と2人の息子と共に暮らしています。
長谷川義史(訳)
長谷川義史(はせがわよしふみ)さんは、1961年大阪府藤井寺市生まれ。 グラフィックデザイナーからイラストレーターを経て、2000年に『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』で絵本作家としてデビューしました。 2003年には『おたまさんのおかいさん』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。また、2008年には『ぼくがラーメンたべてるとき』で日本絵本賞と小学館児童出版文化賞を受賞するなど、多くの作品で高い評価を得ています。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は3歳から6歳以上とされています。物語のテーマや表現が幼児にも理解しやすく、親子での読み聞かせにも適しています。また、繊細なイラストレーションは子どもの想像力を豊かにし、感受性を育む助けとなるでしょう。
レビュー
本作は、子どもの好奇心と成長、そして親の深い愛情が美しく描かれています。待つことの大切さや、親子の絆を再認識させてくれる物語です。ガース・ウィリアムズの繊細なイラストは、物語の雰囲気をより一層引き立て、読者を温かい気持ちにさせてくれます。親子で一緒に読むことで、互いの関係を深めるきっかけとなるでしょう。