
絵本『こころやさしいワニ』は、ルチーア・パンツィエーリ作、アントン・ジョナータ・フェッラーリ絵、さとう のりかさん訳によるイタリア発の作品です。原作『Il coccodrillo gentile』はイタリアで出版されました。日本語版は岩崎書店より2012年に出版されました。この絵本は、第18回いたばし国際絵本翻訳大賞のイタリア語部門賞を受賞しています。物語は、昼間は絵本の中に隠れ、夜になると家事を手伝う心優しいワニが、ある日家族に見つかってしまうというユーモラスな展開です。見た目に惑わされず、内面の優しさを大切にするメッセージが込められています。
略歴
ルチーア・パンツィエーリ
ルチーア・パンツィエーリ(Lucia Panzieri)は、イタリアのペーザロ生まれ。フォルリの通訳翻訳大学とイギリスのウォーリック大学で学び、1997年に卒業されました。翻訳者としての経験を経て、2006年に児童書作家としてデビューしました。代表作には『Fratellino Zuccavuota』や『こころやさしいワニ』などがあり、作品はドイツ、トルコ、日本、アメリカなどでも翻訳出版されています。また、イヴレアで開催される読書フェスティバル「La grande invasione」の子ども向け部門「Piccola Invasione」でキュレーターも務めています。
アントン・ジョナータ・フェッラーリ(絵)
アントン・ジョナータ・フェッラーリ(AntonGionata Ferrari)は、イタリアを代表する児童書のイラストレーターです。1993年から本格的に児童書の挿絵を手がけており、モンダドーリ、ピエンメ、リッツォーリ、サラーニ、ファッブリ、エディツィオーニEL、イル・カストロ、ジュンティ、ラピスなど、イタリアの主要出版社と多くの作品を制作されています。2006年には、イタリアの権威ある児童文学賞「プレミオ・アンデルセン」において最優秀イラストレーター賞を受賞されました。代表作には『I Like My Bike』や『No Honking Allowed!』などがあります。
さとう のりか(訳)
さとうのりか(佐藤 範佳)さんは、宮城県出身の翻訳者であり、イタリア語講師としても活躍しています。もともとは栄養士として勤務していましたが、イタリア料理への関心からイタリア語を学び始め、ペルージャ外国人大学の伊語・伊文化教育学部を卒業しました。現在は、尚絅学院大学の生涯学習講座でイタリア語を教えるほか、通訳や翻訳の仕事も手がけていらっしゃいます。訳書には『こころやさしいワニ』、『あかずきんちゃん』『みにくいアヒルのこ』などがあり、イタリア文化を紹介する料理会や映画会も主催されています。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、3歳から小学校低学年までとされています。物語の内容やイラストの表現が、幼児から小学生まで幅広い年齢層の子どもたちに親しみやすく、楽しめるように工夫されています。
レビュー
『こころやさしいワニ』は、見た目で判断せず、相手の本当の姿を見ることの大切さを教えてくれる絵本です。ワニのキャラクターは、子どもたちにとって親しみやすく、物語を通じて思いやりや優しさの価値を自然と学ぶことができます。また、ユーモアあふれる展開と温かみのあるイラストが、読み手の心を和ませてくれます。家族や小さな友人との読み聞かせにも最適な一冊です。