ちゅうしゃなんかこわくない/穂高 順也

『ちゅうしゃなんかこわくない』(作:穂高順也/絵:長谷川義史)は、2010年に岩崎書店から刊行。予防注射の日に注射が怖くてたまらない“ぼく”が主人公です。本当に注射を受ける前に、逃げ出すように「注射の痛くない国」へ心が飛び出していってしまいます。そこでは、一緒に逃げてきた“あいつ”(友達?)と出会い、小さな注射器でチクッとしてあっという間に元の病院へ戻ります。シュールでユーモラスな展開に、思わずクスッと笑えて、注射への緊張感を和らげてくれる優しいファンタジー絵本です。

略歴

穂高 順也

穂高順也(ほたかじゅんや,1969年愛知県生まれ)は、保育専門学校を卒業後、幼稚園・保育園に勤務。その経験を活かして1999年、『さるのせんせいとへびのかんごふさん』(絵:荒井良二)で絵本作家デビューしました。以降、日本児童文芸家協会理事として、30冊を超える絵本や童話を執筆。代表作には『ぼくのえんそく』『ちゅうしゃなんかこわくない』『どろぼうだっそうだいさくせん!』『マーロンおばさんのむすこたち』などがあり、保育・教育現場での実体験をユーモアたっぷりに作品に反映しています。絵本作家として子どもに寄り添った創作を続ける一方、カルチャースクールの講師も務めています。

長谷川 義史(絵)

長谷川義史(はせがわよしふみ)さんは、1961年大阪府藤井寺市生まれ。 ​グラフィックデザイナーからイラストレーターを経て、2000年に『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』で絵本作家としてデビューしました。 ​2003年には『おたまさんのおかいさん』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。​また、2008年には『ぼくがラーメンたべてるとき』で日本絵本賞と小学館児童出版文化賞を受賞するなど、多くの作品で高い評価を得ています。

おすすめ対象年齢

対象はおおむね3〜7歳ぐらい。注射が怖いという気持ちに寄り添ったストーリー。幼児期の読み聞かせにぴったりです。長谷川義史さんのユーモア溢れるイラストにより、子どもでも注射への恐怖心を和らげることができる一冊。実際に小学校低学年にも人気だそうですよ。

レビュー

この絵本、めちゃくちゃ共感できる&笑える!注射が怖くて「体から逃げ出したい!」って気持ちが漫画みたいにユーモラスに描かれているのが最高。注射の痛くない国で小さい注射器に出会って「え、これなら大丈夫かも?」と安心しちゃう展開も秀逸。長谷川義史さんのゆる〜いタッチのイラストが冒険をさらに面白く見せてくれて、読み聞かせ中に子どもが声を出して笑う場面も多発!現実の注射前の緊張感を、想像の世界でリフレッシュできるのが素晴らしいです。読み終えた後は、「注射も怖いけど、こんな風に考えたら乗り切れるかも」って思わせてくれる、親子で読んで心が軽くなる一冊です。