まよなかのだいどころ/モーリス・センダック

『まよなかのだいどころ』は、モーリス・センダック作、じんぐうてるお訳の絵本で、原作名は『In the Night Kitchen』です。1970年にアメリカで発行され、日本では1982年に冨山房から出版されました。物語は、少年ミッキーが真夜中に台所の世界へ迷い込み、パン職人たちと出会う夢幻的な冒険を描いています。独特のイラストとリズミカルな文章が特徴で、子どもたちの想像力を刺激します。

略歴

モーリス・センダック

モーリス・センダック(Maurice Sendak、1928年 – 2012年)はアメリカの絵本作家、イラストレーターです。ニューヨークのブルックリンでポーランド系ユダヤ人の家庭に生まれ、幼少期から絵を描くことに情熱を注いでいました。センダックは、子どもの内面や感情を描くことに優れ、特に子どもの「怒り」や「反抗心」といった感情をテーマにした作品で独自のスタイルを確立しました。『かいじゅうたちのいるところ』の成功により、彼は世界的に著名な絵本作家となり、その後も多くの作品で幅広い年齢層に影響を与えました。

じんぐうてるお(訳)

じんぐう てるお(神宮 輝夫)は、1932年に群馬県高崎市で生まれました。早稲田大学第一文学部英文科を卒業し、同大学院文学研究科英文学専攻修士課程を修了しました。在学中から早大童話会に参加し、鳥越信、古田足日、山中恒らと活躍しました。英国児童文学の翻訳を精力的に行い、アーサー・ランサム全集のほか、リチャード・アダムズ『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』、モーリス・センダック『かいじゅうたちのいるところ』など、多くの作品を手がけました。1964年に『世界児童文学案内』で日本児童文学者協会賞を受賞し、2009年には国際グリム賞を受賞しました。青山学院大学教授、白百合女子大学教授などを歴任し、2021年に89歳で死去しました。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、3歳から5歳程度とされています。リズミカルな文章と独特のイラストが、小さな子どもたちの興味を引きつけ、読み聞かせにも適しています。

レビュー

『まよなかのだいどころ』は、子どもの夢と現実の境界を巧みに描いた作品です。ミッキーの冒険は、子どもたちの想像力を刺激し、夜の世界への興味をかき立てます。センダックの緻密なイラストとリズミカルな文章が融合し、読者を独特の世界観へと誘います。また、台所の道具や食材が生き生きと描かれ、日常の中に潜むファンタジーを感じさせます。読み終えた後も、物語の余韻が心に残る一冊です。

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