ヨセフのだいじなコート/シムズ・タバック

​シムズ・タバック作・絵、木坂涼訳の絵本『ヨセフのだいじなコート』は、ユダヤの民話を基にした作品です。​原作名は『Joseph Had a Little Overcoat』で、1999年にアメリカで発行されました。​日本語版は2001年に発行されています。​この絵本は、古くなったコートを再利用して新しいアイテムを作り出すヨセフの物語を描いており、物を大切にする心や創意工夫の大切さを伝えています。​また、2000年にコールデコット賞を受賞し、高い評価を得ています。

略歴

シムズ・タバック

シムズ・タバック(Simms Taback)は、1932年にアメリカ・ニューヨークで生まれた絵本作家・イラストレーターです。​クーパー・ユニオン美術学校を卒業後、グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートさせました。​その後、絵本の世界に進出し、独特の色彩感覚とユーモラスな作風で知られるようになりました。​代表作には『ハエをのみこんだおばあさん』や『ヨセフのだいじなコート』があり、後者でコールデコット賞を受賞しています。​また、全米図書賞のファイナリストにも選ばれるなど、その功績は多岐にわたります。​2011年に惜しまれつつ亡くなりましたが、その作品は今も多くの人々に愛されています。

木坂 涼(訳)

木坂涼(きさか りょう)さんは、1958年、埼玉県生まれ。和光大学人文学部芸術学科を卒業後、博報堂に勤務されました。1981年、自費出版の詩集『じかんはじぶんを』で詩人としてデビューし、その独特な作風が注目を集めました。1987年には詩集『ツッツッと』で第5回現代詩花椿賞を受賞し、1997年には『金色の網』で芸術選奨文部大臣新人賞を受賞されています。詩人としての活動に加え、エッセイスト、絵本作家、翻訳家としても幅広く活躍されています。特に、創作絵本や海外の児童文学の翻訳に力を入れており、代表作には『みんなおっぱいのんでたよ』(福音館書店)や『あいうえたいそう』(偕成社)などがあります。また、翻訳作品としては『ねずみの歯いしゃさんアフリカへいく』や『ヨセフのだいじなコート』など、多数の絵本を手掛けています。現在も、詩や絵本の創作、翻訳を通じて、子どもから大人まで幅広い読者に親しまれる作品を提供し続けています。

おすすめ対象年齢

『ヨセフのだいじなコート』は、4歳から7歳の子どもたちを対象とした絵本です。​物語のシンプルさと繰り返しの構成、そして鮮やかなイラストレーションが、この年齢層の子どもたちに親しみやすい内容となっています。​また、物を大切にする姿勢や創意工夫の精神を育む教育的な要素も含まれており、読み聞かせや自主的な読書活動に適しています。

レビュー

この絵本は、物を大切にし、創意工夫で新しい価値を見出すことの大切さを教えてくれます。​ヨセフが古くなったコートを次々と新しいアイテムに作り変えていく姿は、子どもたちにリサイクルや持続可能性の概念を自然に伝える良い機会となります。​また、タバックの鮮やかで細部までこだわったイラストレーションは、読者の視覚的興味を引き、物語の世界に引き込む力があります。​全体として、楽しみながら学びを得られる素晴らしい作品だと感じました。

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