川端誠さんの『じゅげむ』は、1998年にクレヨンハウスから発行された落語絵本シリーズの第4巻です。古典落語「寿限無」を題材に、親が子どもにめでたい名前をつけようとするあまり、長くてユーモラスな名前になってしまうお話を、独特のリズムとテンポで描いています。川端さんの温かみのあるイラストとともに、言葉の面白さや日本語の響きを楽しめる一冊です。読み聞かせにも最適で、親子で笑いながら日本の伝統文化に触れることができます。
略歴
川端 誠
川端 誠(かわばた まこと)さんは、1952年に新潟県長岡市で生まれた絵本作家・イラストレーターです。多摩美術大学を卒業後、デザインやイラストレーションの仕事を経て、絵本制作の道に進みました。1980年代から絵本作家としての活動を本格化させ、特に古典落語や日本の伝統文化を題材にした作品で知られています。代表作には、落語絵本シリーズの『じゅげむ』『はつてんじん』『めぐろのさんま』などがあり、ユーモラスな語り口と温かみのあるイラストで、子どもから大人まで幅広い読者に親しまれています。また、古典文学を題材にした『平家物語』や『源氏物語』の絵本化にも取り組み、日本の伝統文化をわかりやすく伝える作品を多数手がけています。その功績により、数々の児童文学賞を受賞し、日本の絵本界において重要な存在となっています。
おすすめ対象年齢
この絵本は、3歳頃から楽しめますが、5歳〜小学生くらいになると「寿限無」の意味やリズムの面白さをより深く味わえます。長い名前を声に出して読むことが楽しく、日本語の響きや語感を自然と体験できます。落語の世界への第一歩として、親子で読むのにもぴったりな作品です。
レビュー
「寿限無」のフレーズを読むたびに、なんだか笑ってしまう不思議な魅力があります。川端さんのユーモラスなイラストが、古典の世界をぐっと身近にしてくれて、子どもたちもすぐに夢中に。長い名前を覚えて自慢する姿も微笑ましく、読み聞かせにもってこいです。絵と言葉が絶妙にマッチしていて、まさに“聞いて楽しい、見て楽しい”一冊。落語って難しそう…と思っていた子どもたちにも、自然と興味を持たせてくれる力があると思います。
ちなみに和尚さんが教えてくれた長生きで縁起のよい名前を書いておきます。
寿限無(じゅげむ)、寿限無(じゅげむ)、
五劫(ごこう)のすりきれ、
海砂利(かいじゃり)水魚(すいぎょ)の、
水行末(すいぎょうまつ)・雲来末(うんらいまつ)・風来末(ふうらいまつ)、
食う寝るところに住むところ、
やぶらこうじのぶらこうじ、
パイポ・パイポ・パイポのシューリンガン、
シューリンガンのグーリンダイ、
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの、
長久命(ちょうきゅうめい)の長助