柳原良平さんの『かお かお どんなかお』は、1988年に初版が発行された、日本の絵本界で長く愛され続けている名作です。この絵本は、シンプルでカラフルなイラストを通じて、さまざまな表情を楽しく描き出しています。喜び、怒り、悲しみなど、表情豊かな「かお」を次々と紹介しながら、子どもたちに感情の多様性や表現の楽しさを伝えます。分かりやすい構成と親しみやすいデザインで、特に幼児におすすめの一冊です。
略歴
柳原良平(1931年 – 2015年)さんは、東京都出身のイラストレーター、漫画家、アニメーション作家、エッセイストです。幼少期から船に強い興味を持ち、軍艦の絵を描いたり、商船の絵葉書を収集したりしていました。京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)を卒業後、壽屋(現・サントリー)に入社。同社の宣伝部で開高健や山口瞳と共に「トリスウイスキー」のCMを制作し、自らデザインしたキャラクター「アンクルトリス」が大きな人気を博しました。この功績により、毎日産業デザイン賞や広告電通賞などを受賞しています。
サントリーを退社後は、フリーのイラストレーターとして活動を開始。船や港をテーマにした作品や文章を多数発表し、無類の船好きとして知られるようになりました。漫画家としては、1962年から1966年まで読売新聞夕刊に4コマ漫画『今日も一日』を連載。さらに、絵本作家としても活動し、1988年には絵本『かお かお どんなかお』を発表。この作品は、幼児向けのファーストブックとして高い評価を受けています。その多才な才能は広告、出版、アニメーションなど多岐にわたり、電通賞、毎日産業デザイン賞など数々の賞を受賞しました。
おすすめ対象年齢
『かお かお どんなかお』の対象年齢は、0歳から3歳くらいの幼児が適しています。この絵本は、シンプルで親しみやすいイラストとリズミカルな言葉を特徴としており、特に言葉を覚え始めたばかりの子どもたちが楽しめる内容です。「笑った顔」「怒った顔」などの多様な表情を見せることで、子どもたちは感情の名前を学び、表現力を養うきっかけにもなります。また、言葉のリズム感が子どもを惹きつけるため、読み聞かせや親子でのコミュニケーションツールとしても最適です。
レビュー
『かお かお どんなかお』は、シンプルな中にも深い魅力が詰まった絵本だと感じます。柳原良平さんのデザインは、幼い子どもにも分かりやすく、視覚的にも楽しめる工夫が随所に見られます。また、「この顔はどんな気持ち?」と子どもに問いかけながら読むことで、感情について話し合うきっかけを与えてくれる点も素晴らしいです。特に幼児期は、感情を言葉で表現する力を育む重要な時期なので、この絵本はその成長をサポートする良いツールだと思います。また、大人から見ても、デザイン性の高さやノスタルジックな雰囲気が感じられ、親子で楽しめる一冊だと感じました。この絵本を通じて、親子の絆をさらに深められることでしょう。