とよたかずひこさんの『かさちゃんです。』(2017年 童心社)は、雨の日の楽しさを描いたユーモラスな絵本です。ぱっと開いた「かさちゃん」に続いて、赤や青、緑、いろんな色のかさたちが次々と集まってきます。「ぴちゃ ぴちゃ とん とん」とリズミカルな擬音がくり返され、読んでいるうちに自然と声に出したくなる楽しさがあります。雨がやんだ後には風が「ひゅるりん」と吹いて、かさたちがひらひらと動き出す場面も印象的。雨の日がちょっと特別に思えてくる、子どもたちに身近で親しみやすい一冊です。
略歴
とよた かずひこ
とよたかずひこ(本名:豊田 一彦)さんは、1947年、宮城県仙台市に生まれました。早稲田大学第一文学部を卒業されています。大学卒業後はフリーのイラストレーターとして活動し、長女の誕生をきっかけに絵本作家へと転身しました。1997年には『でんしゃにのって』で厚生省中央児童福祉審議会児童文化財特別推薦を受け、2001年には『どんどこ ももんちゃん』で第7回日本絵本賞を受賞しています。また、『あめですよ』は小学1年生の国語教科書(東京書籍)に採用されるなど、多くの作品が親しまれています。
おすすめ対象年齢
『かさちゃんです。』は、0~1歳から楽しめる絵本です。短いフレーズと繰り返しのリズム、そして「ぴちゃぴちゃ」「ひゅるりん」といった心地よい擬音語が多く、ことばを楽しみはじめた幼児にぴったり。雨の日や風の日を遊びに変えるような視点があり、初めての気象や自然への関心を広げるきっかけにもなります。
レビュー
この絵本は読んでいるだけで、雨音や風の音が耳に響いてくるような心地よさがあります。とよたかずひこさんらしい、やさしくユーモアのある絵とリズムで、読み聞かせにもぴったり。子どもと一緒に声を合わせて「ぴちゃ とん とん」と読むと、ちょっとした遊びのような時間になりました。雨の日は外で遊べず退屈しがちですが、この本があれば「雨の日も楽しいね」と思えるのが魅力です。自然現象を身近に感じながら楽しめる、親子で笑顔になれる一冊だと思いました。


