『はだかのおうさま』は、アンデルセン原作で2013年に、いもとようこさんが文と絵を手掛けた絵本です。原作の正式名称は『Kejserens nye Klæder』で、1837年にデンマークで発表されました。この絵本は、1時間おきに服を着替えるおしゃれな王様が、賢い者にしか見えないという服を仕立てる詐欺師に騙される物語です。王様も人々も見えない服を称賛する中、正直な子どもだけが真実を指摘します。いもとようこさんの優しい絵と読みやすい文章で、原作の魅力を存分に伝えています。
略歴
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
ハンス・クリスチャン・アンデルセン(Hans Christian Andersen,1805年 – 1875年)は、デンマークのオーデンセに生まれた童話作家・詩人です。貧しい靴職人の子として生まれ、幼少期から物語に親しみました。俳優を志してコペンハーゲンへ移るも挫折し、その後作家としての道を歩み始めます。30歳の時、イタリア旅行の体験を綴った『即興詩人』を出版し、作家として認められました。その後、『おやゆびひめ』、『人魚姫』、『マッチ売りの少女』、『みにくいあひるの子』、『はだかの王さま』など、150編以上の童話を発表し、世界中で愛されています。
いもとようこ
いもとようこさん(本名:井本蓉子)は、1944年兵庫県生まれの絵本作家・挿絵画家です。金沢美術工芸大学油絵科を卒業後、小学校教員を経て絵本の世界に入りました。独自の貼り絵技法で温かみのある作品を多数手がけ、出版された絵本は400冊以上にのぼります。主な受賞歴として、1985年度『ねこの絵本』、1986年度『そばのはなさいたひ』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞しています。ちぎった和紙の貼り絵に着色する独自の技法で、柔らかく温かな表情の人物や動物を描き、創作童話や日本の昔話、世界の名作など多くの絵本を手がけ国際的にも高く評価されています。
おすすめ対象年齢
この絵本は、幼児から大人まで幅広い年齢層を対象としています。特に3歳から5歳の子どもたちに適していると考えられます。シンプルな文章と温かみのあるイラストで、小さな子どもでも理解しやすく、楽しめる内容となっています。
レビュー
いもとようこさんの『はだかのおうさま』は、優しいタッチのイラストと簡潔な文章で、原作の持つ教訓を子どもたちに伝える素晴らしい作品です。王様の愚かさや周囲の人々の同調圧力、そして子どもの純真さが巧みに描かれており、大人も子どもも楽しめる内容です。読み聞かせを通じて、正直であることの大切さや、自分の目で物事を判断する重要性を学ぶ良い機会となるでしょう。