『かえるくんのこわい夜』は、オランダの絵本作家マックス・ベルジュイスによる人気シリーズの一冊。初版は1993年にオランダで出版され、原題は『Kikker is bang』(直訳:かえるくんはこわがり)。日本語版は1995年にらんか社から出版されました。ある晩、不思議な物音にびっくりして、怖くて眠れなくなってしまうかえるくん。みんなに「オバケなんていないよ」と言われても、不安は止まりません。でも、仲間たちと夜を過ごすうちに、だんだん気持ちが落ち着いてきます。怖い気持ちをそのまま描いているのが魅力で、読む人に安心感を与えてくれるやさしいお話です。
略歴
マックス・ベルジュイス
マックス・ベルジュイス(Max Velthuijs, 1923–2005)はオランダのデン・ハーグ生まれ。元々はグラフィックデザインや広告の仕事に携わっていましたが、1962年に絵本の挿絵家としてデビュー。「かえるくん」シリーズで国際的に注目され、以降20点以上のシリーズが登場。2004年にはイラストと文章の両方の功績が評価され、児童文学の最高賞である国際アンデルセン賞を受賞。ベルジュイスの描くかえるくんは「友情や自己肯定」をやさしく伝える現代の寓話として世界中で親しまれています。
清水 奈緒子(訳)
清水奈緒子(しみずなおこ,1965年生まれの静岡県出身)さんは日本の絵本翻訳家として知られています。『すごいぞかえるくん』をはじめ、1990年代〜2000年代にかけてらんか社から出版された「かえるくん」シリーズを多くを訳しました。原作のやさしい世界観やユーモアを壊さず、日本の子どもたちにも自然に伝える翻訳力には定評があります。絵本業界での活躍は長く、子ども文化に貢献している翻訳者です。
おすすめ対象年齢
対象年齢は3歳〜6歳くらいがおすすめです。怖い気持ちって小さな子にとってとてもリアル。でも、この絵本は怖さを否定せず、仲間の存在で安心へと導いてくれます。夜が怖い、暗闇が苦手…そんな子どもたちにも共感しやすく、安心して読める一冊です。読み聞かせにもぴったり!
レビュー
この絵本、子どものころの「夜が怖い!」っていう感情を本当にやさしく描いてくれています。かえるくんがびくびくする姿に共感しつつ、「怖くてもいいんだよ」って自然に寄り添ってくれる感じが、親子で読むとすごく安心できます。仲間たちも優しくて、特にあひるさんが笑い飛ばして同じように物音に怖がるのは笑えました。絵のタッチも明るくて、夜の怖さがふんわりやわらぎます。子どもが怖がりな時期に、ぜひ読んであげたいお気に入りの一冊です。