『すごいぞ かえるくん』は、オランダの絵本作家マックス・ベルジュイスが描いた人気シリーズの1冊。原題は「Kikker is een held」(1996年/オランダ Leopold社刊)。日本語版は同年にらんか社から刊行され、訳は清水奈緒子さんです。物語は、大雨が降りつづき川があふれてしまう中、かえるくんが仲間たちを助けようと勇気を出して立ち上がるという内容。シンプルだけど力強いストーリーで、「ほんとうのヒーローって何だろう?」という問いに、子どもたち自身が自然と気づける絵本です。カラフルであたたかみのあるイラストも魅力で、友情や助け合いの大切さをやさしく伝えてくれます。シリーズの中でも特に人気の高い1冊です。
略歴
マックス・ベルジュイス
マックス・ベルジュイス(Max Velthuijs, 1923–2005)はオランダのデン・ハーグ生まれ。元々はグラフィックデザインや広告の仕事に携わっていましたが、1962年に絵本の挿絵家としてデビュー。1989年刊行の『かえるくんはかえるくん』シリーズで国際的に注目され、以降20点以上のシリーズが登場。2004年にはイラストと文章の両方の功績が評価され、児童文学の最高賞である国際アンデルセン賞を受賞。ベルジュイスの描くかえるくんは「友情や自己肯定」をやさしく伝える現代の寓話として世界中で親しまれています。
清水 奈緒子(訳)
清水奈緒子(しみずなおこ,1965年生まれの静岡県出身)さんは日本の絵本翻訳家で、外国絵本シリーズ『かえるくん』を手がけたことで知られます。『すごいぞかえるくん』をはじめ、1990年代〜2000年代にかけてらんか社から出版された「かえるくん」シリーズを多くを訳しました。原作のやさしい世界観やユーモアを壊さず、日本の子どもたちにも自然に伝える翻訳力には定評があります。絵本業界での活躍は長く、子ども文化に貢献している翻訳者です。
おすすめ対象年齢
この絵本は、3~6歳ごろのお子さんにぴったりです。ストーリーも絵柄もシンプルで、幼児が飽きずに楽しめる構成。洪水や助け合いの要素は感情や共感力を育て、読み聞かせでは安心感を感じさせながら命の大切さや友情の価値に気づくきっかけにもなる内容です。
レビュー
かえるくんシリーズの中でも、このお話はとくに心に残ります。ふだんはのんびり屋のかえるくんが、大雨で困っている友だちのために勇気をふりしぼって行動する姿にグッときました。誰かのためにがんばる姿って、本当にかっこいい。子どもだけじゃなく、大人の心にも響くメッセージが詰まっています。絵もやさしくて、どのページも見ていて安心するトーン。読み終わったあと、自然と「誰かにやさしくしたいな」って思える、あたたかい絵本です。家族みんなで読むのにもぴったりの一冊!