かえるくんのあたらしいともだち/マックス・ベルジュイス

『かえるくんのあたらしいともだち』は、オランダの作家マックス・ベルジュイスが描く心あたたまる絵本シリーズの一冊。原題は『Kikker vindt een vriendje』で、2002年にオランダで初出版されました。日本語版は清水奈緒子さんの訳で、2003年にらんか社から刊行されました。森でぬいぐるみのようなこぐまを見つけたかえるくんは、まわりの声に惑わされず、彼を家に連れて帰ります。やがてこぐまが動き出し、ふたりは本当の友達に。弟分ができたことで、かえるくんの優しさや成長が感じられる感動の一冊。

略歴

マックス・ベルジュイス

マックス・ベルジュイス(Max Velthuijs, 1923–2005)はオランダのデン・ハーグ生まれ。元々はグラフィックデザインや広告の仕事に携わっていましたが、1962年に絵本の挿絵家としてデビュー。「かえるくん」シリーズで国際的に注目され、以降20点以上のシリーズが登場。2004年にはイラストと文章の両方の功績が評価され、児童文学の最高賞である国際アンデルセン賞を受賞。ベルジュイスの描くかえるくんは「友情や自己肯定」をやさしく伝える現代の寓話として世界中で親しまれています。

清水 奈緒子(訳)

清水奈緒子(しみずなおこ,1965年生まれの静岡県出身)さんは日本の絵本翻訳家として知られています。『すごいぞかえるくん』をはじめ、1990年代〜2000年代にかけてらんか社から出版された「かえるくん」シリーズを多くを訳しました。原作のやさしい世界観やユーモアを壊さず、日本の子どもたちにも自然に伝える翻訳力には定評があります。絵本業界での活躍は長く、子ども文化に貢献している翻訳者です。

おすすめ対象年齢

対象年齢は3歳頃からがおすすめです。文章量も適度で、はじめてのストーリー絵本としても親しみやすく、やさしい絵柄と内容は読み聞かせにもぴったり。友情や思いやりをテーマにしており、幼児期の心に響くお話です。

レビュー

かえるくんが「ただのぬいぐるみ」と言われても、こぐまを大切にする姿がとても印象的でした。相手を信じること、受け入れることの大切さを静かに伝えてくれるお話で、大人にも深く刺さります。かえるくんが少しお兄さんらしくなる様子も、シリーズを追っている読者には特に感慨深く、成長物語としても楽しめます。最後のふたりの表情には、思わず笑みがこぼれました。