『どろんこ』は、フランスの絵本作家アラン・メッツさんが手がけた作品で、原題は『La tache』。
日本語版は、いしづ ちひろさんの翻訳により、パロル舎から2005年に出版されました。物語は、泥遊びが大好きなぶたのジュールと、おおかみのジルが繰り広げるドタバタ劇。泥だらけになっても気にしないジュールと、きれい好きなジルの対比がユーモラスに描かれています。子どもたちに「自分らしさ」や「他者との違い」を楽しく伝える一冊です。
略歴
アラン・メッツ
アラン・メッツ(Alan Mets)は、フランス・パリ生まれの絵本作家・イラストレーターで、本名はエリック・メアラン(Éric Meallant)です。医学、哲学、映画を学んだ後、絵本作家としての道を歩み始めました。そのきっかけとなったのは、同じくフランスの著名な絵本作家であるトミー・ウンゲラーの励ましでした。1991年以降、彼は『はなくそ(原題:Crotte de nez)』をはじめとする数多くの絵本を手がけており、特にL’École des loisirs社から35冊以上の作品を出版しています。彼の作品には、カラフルな背景に擬人化された動物たち(特に猫、狼、豚など)が登場し、ユーモアと温かみのあるストーリーが特徴です。また、他の作家の作品のイラストも手がけており、クリスチャン・オステルやブリジット・スマジャなどの作品に携わっています。彼の作品は、子どもたちだけでなく、大人にも楽しめる内容となっており、フランス国内外で高い評価を受けています。
いしづ ちひろ(訳)
石津ちひろ(いしづ ちひろ)は、1953年に愛媛県で生まれた詩人、絵本作家、翻訳家です。 早稲田大学文学部仏文科を卒業後、3年間フランスに滞在し、その後、絵本作家や翻訳家として活動を開始しました。 自身の作品としては、『なぞなぞのたび』(絵:荒井良二、フレーベル館)でボローニャ児童図書展絵本賞を受賞し、『あしたうちにねこがくるの』(絵:ささめやゆき、講談社)で日本絵本賞を受賞しています。 また、詩集『あしたのあたしはあたらしいあたし』(理論社)で三越左千夫少年詩賞を受賞するなど、多方面で活躍しています。 翻訳家としては、「リサとガスパール」シリーズ(ブロンズ新社)など、多くの作品を手がけています。
おすすめ対象年齢
『どろんこ』は、4歳から小学校低学年の子どもたちにおすすめの絵本です。自分と他人の違いに気づき始めるこの時期に、「そのままの自分を受け入れること」の大切さを、楽しいストーリーを通じて伝えてくれます。シンプルな文章とユーモラスなイラストで、読み聞かせにもぴったりです。
レビュー
『どろんこ』は、泥遊びを通じて自分らしさを表現するぶたのジュールと、きれい好きなおおかみのジルのやり取りがとてもユーモラス。子どもたちが自分の個性を大切にすることの大切さを、自然と学べる絵本です。石津ちひろさんの翻訳も、原作の魅力をそのままに、日本の子どもたちにも親しみやすい言葉で描かれています。読んでいて心が温かくなる一冊です。