フランスの絵本シリーズ「リサとガスパール」の一作『リサのすてきなスカーフ』は、日本では2006年に発行されました。原作名は『L’écharpe de Lisa』。フランスでは2005年に発行されました。
この絵本は、学校でシラミが流行し、リサの頭にもシラミの卵が見つかるエピソードを描いています。シラミ退治のシャンプーの匂いでクラスメートにからかわれ、孤立してしまうリサの心情が丁寧に描かれています。最終的に、母親から素敵なピンクのスカーフを贈られ、元気を取り戻すリサの姿が印象的です。
略歴
アン・グットマン
アン・グットマン(Anne Gutman)は、1970年にフランス・パリで生まれた絵本作家です。小説家であった父親の影響を受け、幼少期から創作活動に興味を持ちました。デザイナーとして出版社で勤務していた際、画家のゲオルグ・ハレンスレーベンと出会い、結婚しました。夫の助言を受けて作家活動を本格化し、彼と共に絵本制作を開始しました。主に文章と装丁を担当し、1999年に「リサとガスパール」シリーズを発表しました。このシリーズは世界的なベストセラーとなり、続いてコアラの女の子を主人公とした「ペネロペ」シリーズも手がけました。「ペネロペ」シリーズは『うっかりペネロペ』としてアニメ化され、日本でも高い人気を博しています。アン・グットマンの独特の文体と感動的なストーリーテリングで、多くの読者に愛されています。彼女の作品は、世界中で翻訳され、多くの子どもたちに読み聞かせされています。
ゲオルク・ハレンスレーベン(絵)
ゲオルク・ハレンスレーベン(Georg Hallensleben)は、1958年にドイツのヴッパータルで生まれた絵本画家です。 幼少期から水彩画に親しみ、高校卒業後に絵本の挿絵の仕事を始めました。 その後、パリでデザイナーとして活動していたアン・グットマンと出会い、結婚。以降はアンと共に絵本制作を行い、主にイラストを担当しています。 代表作として、架空の動物を主人公にした「リサとガスパール」シリーズや、コアラの女の子が主人公の「ペネロペ」シリーズがあり、これらの作品は世界中で愛されています。
石津 ちひろ(訳)
石津ちひろ(いしづ ちひろ)は、1953年に愛媛県で生まれた詩人、絵本作家、翻訳家です。 早稲田大学文学部仏文科を卒業後、3年間フランスに滞在し、その後、絵本作家や翻訳家として活動を開始しました。 自身の作品としては、『なぞなぞのたび』(絵:荒井良二、フレーベル館)でボローニャ児童図書展絵本賞を受賞し、『あしたうちにねこがくるの』(絵:ささめやゆき、講談社)で日本絵本賞を受賞しています。 また、詩集『あしたのあたしはあたらしいあたし』(理論社)で三越左千夫少年詩賞を受賞するなど、多方面で活躍しています。 翻訳家としては、「リサとガスパール」シリーズ(ブロンズ新社)など、多くの作品を手がけています。
おすすめ対象年齢
この絵本は、3歳から6歳の幼児を対象としています。シンプルなストーリーと可愛らしいイラストで、小さな子どもたちにも理解しやすく、共感を呼ぶ内容となっています。また、シラミの問題や友達関係など、幼児期に直面する可能性のあるテーマを扱っており、親子での読み聞かせにも適しています。
レビュー
『リサのすてきなスカーフ』は、子どもたちが直面する可能性のある問題を優しく描いており、共感を呼ぶ作品です。リサがシラミの問題でからかわれ、孤立する様子は、子どもたちにとって身近なテーマであり、読者はリサの気持ちに寄り添うことができます。また、母親からのスカーフの贈り物を通じて、家族の温かさやサポートの大切さが伝わってきます。ゲオルグ・ハレンスレーベンの柔らかなイラストレーションも、物語の雰囲気を引き立てています。全体として、子どもたちの心の成長や友情、家族の絆を考えるきっかけとなる素晴らしい絵本だと感じました。