『ちいさい わたし』は、かさいまりさん作・おかだちあきさん絵による絵本で、2013年にくもん出版から刊行されました。主人公の女の子は、小さいからこそ「ごあいさつがもじもじしちゃう」「おともだちとけんかしちゃう」など、できないことがいっぱい。でも「ごめんね」と自分から言おうとする前向きな気持ちも育っています。この絵本は、子どもたちが抱える小さな不安や戸惑いに寄り添い、「できないことも、いつかはできるようになる」と優しく背中を押してくれる内容。親子で読みながら、「今はその途中だね」と確認し合える、心あたたまる一冊です。
略歴
かさいまり
かさいまりさんは北海道生まれ。小樽女子短期大学英文科と北海道芸術デザイン専門学校を卒業後、広告代理店に勤務していました。その後、第3回サンリオ絵本グランプリで優秀賞を受賞したことをきっかけに絵本作家としてデビューしました。小さな子どもの心の揺れを丁寧に描く作風で知られ、『ぼくとクッキー さよならまたね』や『いつもいっしょ』『ちいさい わたし』(くもん出版)など多数の作品があります。作品は道徳教材にも採用され、全国各地で読み聞かせや講演も積極的に行っている絵本作家です。
岡田 千晶(絵)
岡田千晶(おかだちあき)さんは大阪府出身、セツ・モードセミナー卒の絵本作家・イラストレーター。2010年にはボローニャ国際絵本原画展に入選した実力派です。代表作品には、『うさぎくんとはるちゃん』(岩崎書店)、『もうすぐもうすぐ』(教育画劇)、『ひだまり』(光村教育図書)、『しゃっくりくーちゃん』(白泉社)など多数あります。日常の何気ない仕草や表情を大切に描くスタイルで、優しいタッチに心がほっこりします。
おすすめ対象年齢
対象年齢は 3歳から小学校低学年くらいがおすすめです。小さな子どもにとって「できないこと」がたくさんある時期に、優しく寄り添ってくれる内容なので、就学前の子どもにぴったり。また、読み聞かせを通して親子の会話が広がるので、年長さんや小学校低学年の子どもにも響きます。子どもだけでなく、保護者も共感できるテーマが魅力です。
レビュー
『ちいさい わたし』を読んで、子どもが「できないこと」に直面する姿をあたたかく描いているのが素敵だなと思いました。子ども自身は不安や葛藤を抱えつつも、ちゃんと前に進もうとする姿がいじらしく、思わず応援したくなります。特に「けんかしたままはいやだから、ごめんねを言おう」とする気持ちには胸を打たれました。大人はつい「できること」に目を向けがちですが、この絵本は「今はその途中だよ」と伝えてくれます。岡田千晶さんのやさしい色づかいのイラストもぴったりで、読後にほんのり安心感が残る一冊でした。