『まんま まんま』(2020年,光村教育図書)は、中川ひろたかさんのやさしい言葉と、まるやまあやこさんのあたたかい絵がぴったり合わさった、食事の楽しさを描く絵本です。小さな男の子とくまのぬいぐるみが一緒にごはん。ぬいぐるみにもエプロンをつけて、スプーンで一生けんめい食べる姿が愛らしく、子どもの「あるある」が詰まっています。
略歴
中川 ひろたか
中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。
まるやま あやこ(絵)
まるやま あやこさんは1982年、長野県生まれ。自然豊かな安曇野で育ち、9歳から油絵を始め、多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業。大学の卒業制作『たんぽぽのふね』で第13回新風舎えほん大賞の大賞を受賞し、絵本作家デビュー。その後、『まよなかのトイレ』『ひとりでおとまり』『ゆきのひのいえで』など、日常や子どもの気持ちに寄り添う絵本を多数刊行。子どもの仕草や表情を写し取るような柔らかな画風が特長で、多くの読者に愛されています。現在は安曇野に在住し、絵本制作だけでなく展覧会やワークショップなど幅広く活動中。
おすすめ対象年齢
対象は主に1歳〜2歳からの乳幼児です。まだ言葉がゆっくりでも、「まんま」のリズム感や、スプーンを持つ手の動きなどを楽しめる時期。成長のはじめの一歩を感じられるストーリーで、読み聞かせにぴったり。食事中に飽きてしまう子にも、親子の時間を温かく演出してくれます。
レビュー
この絵本を読むと、小さな「できる!」が愛おしくてたまりません。食べこぼしやご飯粒つきつつも、にこにこ笑顔で食べる姿が心に残ります。くまのぬいぐるみがおそろいのエプロンをつけているのもほっこりポイント。まるやまあやこさんのイラストは、柔らかくて温度感があって、見ているだけでも気持ちがなごみます。「ひとりでスプーン!」「おかわり!」という小さな挑戦が、読む側にも共感と応援の気持ちをくれます。シリーズを通して成長を感じられるので、お子さんと一緒に何度も読みたくなる一冊です。