『もみじのてがみ』は、きくち ちきさんの絵本で、2018年に小峰書店から発行された作品です。ある日、ねずみにまっ赤な「もみじのてがみ」が届き、ねずみはりすやひよどりと一緒に紅葉を探しに山へ出かけます。「あかい いろ」を頼りに森を歩く中で、きのこや木の実など赤い色を見つけては喜びつつ、なかなか本物のもみじに出会えません。絵本全体を通して、紅葉の色彩が生き生きと描かれていて、秋の自然の美しさが感じられます。「もみじのてがみ」という表現が、季節の便りや移ろう時間の感じ方をやさしく語りかける一冊です。
略歴
きくち ちき
きくちちき さんは、1975年北海道生まれの絵本作家で、デザインの仕事を経たあと絵本制作の道へ進みました。2008年頃から手製の絵本を発表し、その独自の色彩感や筆使いが編集者の目に留まり、2012年に『しろねこくろねこ』でデビューしました。デビュー作はブラティスラヴァ世界絵本原画展で金のりんご賞を受賞し、国内外で高く評価されています。続く作品も多数あり、2019年の『もみじのてがみ』では同展の金牌を、2020年には『しろとくろ』で産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞するなど、受賞歴も豊富です。他の代表作には『でんしゃ くるかな?』『ぼくだよぼくだよ』など、多様な絵本があり、親子で楽しめる絵本を精力的に制作しています。ユニークで躍動感のあるタッチが特徴で、子どもだけでなく大人からも支持されています。
おすすめ対象年齢
対象年齢は4歳〜6歳くらいが目安です。秋の森を散策するような静かな展開と、色を探すという視覚的な楽しさが、小学校入学前後の子どもにもぴったりです。言葉は少なめでも絵がしっかり物語を伝えるので、読み聞かせでも集中しやすく、季節の変化や自然への関心を育てるのにも向いています。
レビュー
この絵本は、目で見るだけで秋の空気に包まれているような気持ちになれます。真っ赤な「もみじのてがみ」というアイデアがとても詩的で、ねずみたちが「赤い色」を探して歩く姿が自然の探検のように感じられました。きのこや木の実の赤と紅葉の赤を比べながらページをめくっていくと、子どもと一緒に「あ、これも秋の色だね」と会話が生まれやすいです。絵の中の赤色は鮮やかで、見るたびに発見があって楽しいです。山の中で動物たちと一緒に紅葉をさがす旅のように、読んでいる自分も秋の森を歩いているみたいで、季節を感じるのにぴったりの絵本だと思いました。

