『ばけものつかい』は、川端誠さんによる落語絵本シリーズの第1巻。1994年、クレヨンハウスより刊行されました。古い屋敷に引っ越してきたご隠居さんが、噂どおり毎晩現れる妖怪たちに怯えるどころか、まるで召使いのように家事や庭仕事をさせてしまうユニークな展開が魅力です。一つ目小僧、ろくろっ首、大入道と次々現れる化け物たちが、次々と働かされてクタクタになる姿は思わず笑ってしまいます。温かみのあるイラストとテンポの良い語り口で、落語の“可笑しさ”を子どもにも伝える一冊です。伝統的な妖怪モチーフをコミカルに楽しめるので、読み聞かせにもぴったり!
略歴
川端 誠
川端 誠(かわばた まこと)さんは、1952年に新潟県長岡市で生まれた絵本作家・イラストレーターです。多摩美術大学を卒業後、デザインやイラストレーションの仕事を経て、絵本制作の道に進みました。1980年代から絵本作家としての活動を本格化させ、特に古典落語や日本の伝統文化を題材にした作品で知られています。代表作には、落語絵本シリーズの『じゅげむ』『はつてんじん』『めぐろのさんま』などがあり、ユーモラスな語り口と温かみのあるイラストで、子どもから大人まで幅広い読者に親しまれています。また、古典文学を題材にした『平家物語』や『源氏物語』の絵本化にも取り組み、日本の伝統文化をわかりやすく伝える作品を多数手がけています。その功績により、数々の児童文学賞を受賞し、日本の絵本界において重要な存在となっています。
おすすめ対象年齢
この絵本は、6歳頃の子どもにおすすめです。一つ目小僧やろくろっ首、大入道といった妖怪のキャラが登場し、怖さよりも「働かされる化け物」に笑いが起きる、そのユーモアを楽しめる年齢層です。落語のテンポ感やオチの面白さを味わえるので、親子で読むと会話が弾み、日本の妖怪文化に気軽に触れられる良いきっかけになります。
レビュー
『ばけものつかい』、これめちゃくちゃ面白い!ご隠居さんが「化け物屋敷」へ平然と引っ越して、出てくる妖怪たちを召使いみたいに働かせちゃうって発想が斬新で笑いを誘います。しかも、イラストが優しいタッチで、怖さよりも温かみが前面に出てるのが素敵。読み聞かせで声に出すと、妖怪の掛け合いのリズム感が楽しすぎて、ついつい何度も「もう一回!」って言いたくなるんですよね。子どもだけじゃなく大人もニヤリとする余韻が残ります。落語の入門にもピッタリで、日本の昔話や妖怪文化を自然に学べるのがこのシリーズの醍醐味。軽いホラー+コメディ+ほんのり教訓、みたいなバランスが絶妙で、一家に一冊!って感じです。