おつきみうさぎ/中川 ひろたか

『おつきみうさぎ』は、作:中川ひろたかさん、絵:村上康成さんによる絵本で、2001年に童心社から刊行されました。今日はお月見。野原へすすきを取りに行った子どもたちが、そこで「光る不思議なウサギ」を見かけて連れ帰ります。園でお月見団子を作り、すすきを飾り、夜になるとお月さまが昇ってきて…なんとそのウサギは本当は月のウサギ! 半月のときに足を踏み外して、地球に落ちてきてしまったという切ないきっかけが明かされます。静かに、パッと心に灯るようなファンタジーで、お月見の夜を特別に感じさせてくれる一冊です。自然の美しさとちょっぴりせつなさが交差する素敵な物語ですよ。

略歴

中川 ひろたか

中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。

村上 康成(絵)

村上康成(むらかみやすなり)さんは1955年岐阜県生まれ。魚や森など自然をテーマにした作品が多く、「自然派アーティスト」としても知られます。代表作に『ピンクとスノーじいさん』や『なつのいけ』などがあり、1995年には『ようこそ森へ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。中川ひろたかさんとのコンビでも多くの絵本を手がけ、子どもたちの成長や日常をやさしく描き出しています。個展や講演活動も精力的に行い、絵本の魅力を広げ続けています。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は主に 3歳〜5歳以上。幼児が集中して楽しめる分量で、穏やかな語り口と村上康成さんのやさしい絵がマッチしていて、お月見の情景や幻想的な雰囲気を味わえます。秋の読み聞かせやお月見の季節にぴったりの一冊です。

レビュー

この絵本を読むと、お月見の夜が一気に魔法みたいにスペシャルに感じられます。すすきを取りに出かけて見つけた“光るウサギ“…すごく神秘的で、子どもの好奇心をくすぐりますよね。「月のウサギが落ちてきた」という設定も、ちょっとせつなくて心に響く…!村上さんの絵は、夜の静けさや月明かりのやわらかさが伝わってきて、ページをじーっと見ちゃいます。読み聞かせすれば子どもも「ウサギ大丈夫かな?」って自然にセリフを追ったり、月を見上げたくなったり。秋の夜長にぴったりの、ほっこり&ちょっと切ないファンタジー絵本です。