ムーン・ジャンパー/ジャニス・メイ・ユードリー

『ムーン・ジャンパー』は、ジャニス・メイ・ユードリー作、モーリス・センダック絵、谷川俊太郎さん訳による絵本です。 原作の英語タイトルは『The Moon Jumpers』で、1959年にアメリカで発行されました。 日本語版は、2014年に偕成社から発行されています。 この絵本は、月夜に子どもたちが庭で遊ぶ情景を詩的に描写しており、センダックの繊細で幻想的なイラストが物語の雰囲気を深めています。 谷川俊太郎の訳文は、原作のリズムと美しさを見事に再現しており、日本の読者にも親しみやすい作品となっています。

略歴

ジャニス・メイ・ユードリー

ジャニス・メイ・ユードリー(Janice May Udry)は、1928年にアメリカ・イリノイ州で生まれました。大学卒業後、シカゴ市内の保育園で勤務し、その経験から子どもの心理や成長に深い関心を抱くようになりました。この関心が、彼女の絵本作家としてのキャリアの礎となりました。彼女の作品は、シンプルでありながら深いメッセージ性を持ち、子どもたちだけでなく大人にも共感を呼び起こします。物語は、日常の中に潜む美しさや喜びを再発見させてくれるものが多く、世代を超えて愛されています。子どもの純粋な視点と感性を尊重し、その魅力を余すところなく伝えるものばかりです。彼女の絵本は、親子での読み聞かせや教育現場でも広く活用され、多くの人々に影響を与え続けています。

モーリス・センダック(絵)

モーリス・センダック(Maurice Sendak、1928年 – 2012年)はアメリカの絵本作家、イラストレーターです。ニューヨークのブルックリンでポーランド系ユダヤ人の家庭に生まれ、幼少期から絵を描くことに情熱を注いでいました。センダックは、子どもの内面や感情を描くことに優れ、特に子どもの「怒り」や「反抗心」といった感情をテーマにした作品で独自のスタイルを確立しました。『かいじゅうたちのいるところ』の成功により、彼は世界的に著名な絵本作家となり、その後も多くの作品で幅広い年齢層に影響を与えました。

谷川俊太郎(訳)

谷川俊太郎(たにかわ しゅんたろう, 1931年-2024年)さんは、東京生まれの詩人、翻訳家、絵本作家です。1952年に詩集『二十億光年の孤独』でデビューし、その独創的で感受性豊かな詩風が注目を集めました。以来、詩だけでなく、絵本や脚本、翻訳など多岐にわたる分野で多才な才能と日本文学への多大な貢献を物語っています。
絵本分野では、レオ・レオニの『スイミー』や『フレデリック』の翻訳で知られ、その簡潔で美しい日本語訳が作品に新たな命を吹き込みました。また、絵本『もこ もこもこ』や詩画集『ことばあそびうた』など、自身のオリジナル作品でも多くの読者に親しまれています。
受賞歴も多く、読売文学賞(1983年)、野間児童文芸賞(1988年)、朝日賞(1996年)など、国内外で高く評価されました。晩年には国際的な詩の賞も受賞し、日本文学の世界的な地位向上にも寄与しました。詩を通じて日常の深さを表現し続け、2024年に永眠しました。その作品と影響は、今も多くの人々に愛されています。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、一般的に4歳から8歳の子ども向けとされています。 しかし、その詩的な表現や美しいイラストは、大人にも深い感動を与えるため、幅広い年齢層におすすめできる作品です。

レビュー

『ムーン・ジャンパー』は、子どもたちの想像力と夜の静けさが美しく融合した作品です。 センダックのイラストは、月夜の神秘的な雰囲気を巧みに表現しており、ページをめくるごとに新たな発見があります。 また、谷川俊太郎の訳文は、原作の詩情を損なうことなく、日本語の美しさを感じさせます。 子どもたちの無邪気な遊びと自然の美しさが描かれたこの絵本は、読み手に郷愁と温かさをもたらし、親子での読み聞かせにも最適です。​

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