わたしのわごむはわたさない/ヨシタケシンスケ

『わたしのわごむはわたさない』は、ヨシタケシンスケさん作・絵の絵本で、2019年にPHP研究所から出版されました。物語は、女の子がゴミ箱の横に落ちていた輪ゴムを見つけ、お母さんに「ちょうだい」と頼んで手に入れるところから始まります。この輪ゴムは、お兄ちゃんのおさがりでもなく、みんなで使うものでもなく、彼女だけの特別なものです。彼女はその輪ゴムと一緒にお風呂に入り、寝るときも一緒で、大人になったらおしゃれに使ったり、ラブレターを束ねたり、悪い人を捕まえたり、宇宙人をやっつけたりと、想像を膨らませます。この絵本は、子どもの純粋な喜びや想像力をユーモラスに描いており、読者も思わず微笑んでしまう内容となっています。

略歴

ヨシタケシンスケ(本名:吉竹伸介)さんは、1973年、神奈川県生まれ。筑波大学芸術専門学群を卒業。さらに、同大学大学院芸術研究科総合造形コース修士課程を修了しています。
2013年、初のオリジナル絵本『りんごかもしれない』を発表し、独特の視点とユーモラスな表現で注目を集めました。同作はMOE絵本屋さん大賞第1位や第61回産経児童出版文化賞美術賞を受賞しています。
その後も、『ぼくのニセモノをつくるには』、『もうぬげない』『このあとどうしちゃおう』など、次々と話題作を発表。特に『もうぬげない』は、2017年にボローニャ・ラガッツィ賞特別賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得ています。彼の作品は、日常の何気ない疑問や想像をユーモラスに描き、子どもから大人まで幅広い世代に共感されています。また、児童書の挿絵や装画、エッセイの執筆など、多岐にわたる分野で活躍しています。
2022年6月時点で、彼の絵本の累計発行部数は約600万部に達し、10か国以上で翻訳出版されています。2児の父でもあり、家族との日常から得られるインスピレーションが作品に反映されています。その独特の発想と温かみのある作風で、日本を代表する現代絵本作家としての地位を確立しています。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、3歳から5歳とされています。シンプルな文章と親しみやすいイラストで、小さなお子さんでも理解しやすく、楽しめる内容です。また、子どもの想像力や自己の所有物に対する喜びを描いているため、同年代の子どもたちに共感を呼び起こすことでしょう。

レビュー

『わたしのわごむはわたさない』を読んで、子どもの純粋な喜びや想像力の豊かさに心が温まりました。大人から見ると何気ない輪ゴムでも、子どもにとっては特別な宝物となり、その小さな存在から無限の物語を創り出す力に感動しました。ヨシタケシンスケさんのユーモアあふれる描写とイラストが、子どもの視点を巧みに表現しており、読み手も一緒にその世界に引き込まれます。この絵本は、子どもだけでなく、大人も自身の幼少期を思い出し、共感できる作品だと感じました。