
『うさぎさんてつだってほしいの』は、シャーロット・ゾロトウ作、モーリス・センダック絵、こだまともこさん訳による絵本です。原作名は『Mr. Rabbit and the Lovely Present』で、1962年にアメリカで発行されました。日本語版は1978年に冨山房から出版されています。物語は、母親の誕生日プレゼントを探す少女が、うさぎさんの助けを借りて最適な贈り物を見つける過程を描いています。ゾロトウの繊細な物語とセンダックの魅力的なイラストが融合し、読者に温かい感動を与える作品です。
略歴
シャーロット・ゾロトウ
シャーロット・ゾロトウ(Charlotte Zolotow、1915年 – 2013年)は、アメリカ・バージニア州ノーフォーク生まれの児童文学作家、詩人、編集者です。50年以上にわたり、出版社で児童書の編集者として多くの絵本作家を世に送り出す一方、自身でも数多くの物語を執筆しました。代表作には『こうえんのいちにち』(1944年)、『あらしのひ』(1952年)、『ぼくは赤ちゃんがほしいの』(1972年)などがあります。彼女の作品は、子どもの視点や感情を丁寧に描き、多くの読者に親しまれています。
モーリス・センダック(絵)
モーリス・センダック(Maurice Sendak、1928年 – 2012年)はアメリカの絵本作家、イラストレーターです。ニューヨークのブルックリンでポーランド系ユダヤ人の家庭に生まれ、幼少期から絵を描くことに情熱を注いでいました。センダックは、子どもの内面や感情を描くことに優れ、特に子どもの「怒り」や「反抗心」といった感情をテーマにした作品で独自のスタイルを確立しました。『かいじゅうたちのいるところ』の成功により、彼は世界的に著名な絵本作家となり、その後も多くの作品で幅広い年齢層に影響を与えました。
こだま ともこ(訳)
こだまともこ(本名:小玉 知子、旧姓:相磯)は、1942年、東京都に生まれました。1964年、早稲田大学文学部英文科を卒業後、文化出版局に入社。1967年に同社を退社し、翻訳家としての道を歩み始めました。主に英米の児童文学作品の翻訳を手掛け、その数は多岐にわたります。代表的な翻訳作品には、シャーロット・ゾロトウ作『うさぎさんてつだってほしいの』や、ジャニス・メイ・ユードリー作『きみなんかだいきらいさ』などがあります。また、ローラ・インガルス・ワイルダーの「小さな家」シリーズの翻訳も手掛け、児童文学の普及に貢献しました。翻訳活動のみならず、自身でも創作活動を行い、『おばあさんのじてんしゃ』や『3じのおちゃにきてください』などの作品を発表しています。その功績が認められ、2008年には日本国際児童図書評議会賞を受賞しました。こだま氏の作品は、子どもたちの心に寄り添い、豊かな感性を育むものとして高く評価されています。
おすすめ対象年齢
『うさぎさんてつだってほしいの』は、3歳から6歳頃の子どもたちに適した作品です。物語のシンプルさと繰り返しのリズム、そしてセンダックの優しいイラストが、幼児から小学校低学年の子どもたちに親しみやすく、読み聞かせにも最適です。
レビュー
この絵本は、母親への愛情と贈り物を選ぶ楽しさが伝わってくる心温まる物語です。少女とうさぎさんのやり取りは微笑ましく、センダックのイラストは物語に深みを与えています。子どもたちが家族や友人への思いやりを育むきっかけとなる一冊であり、大人も共感できる内容です。プレゼント選びの過程で描かれる自然の美しさや季節感も魅力の一つで、親子で楽しめる作品です。