松成真理子さんが作・絵を担当した絵本『ぼくのくつ』(ひさかたチャイルド、2006年)は、春のぽかぽかした空気が似合うあたたかストーリー。「おばあちゃんからもらった新しい靴は、ぼくにはちょっとぶかぶか。早く大きくなれって思うけれど、古い靴がちょっぴり悲しそう…」っていう、ものへの思いやりがじんわり伝わってきます。子どもにとって靴は「走る」「遊ぶ」の相棒で、新しい靴にワクワクしながらも、古い靴への愛着や、成長へのちょっぴり切ない気持ちまで、丁寧に描かれています。それに春の陽だまりみたいにやさしい絵がもう最高で、読んだ後はなんだか心も足取りも軽くなるような感じ…ぜひ親子でほっこりしてほしい一冊です。
略歴
松成 真理子
松成真理子さんは1959年生まれで、大阪府出身のイラストレーター・絵本作家。京都芸術短期大学(現・京都造形芸術大学)を卒業して、広告や雑誌のイラストの世界から絵本の世界へステップアップ。デビュー作『まいごのどんぐり』(童心社)で第32回児童文芸新人賞を受賞したのがきっかけ。主な作品には『じいじのさくら山』『ふでばこのなかのキルル』(白泉社)、『たなばたまつり』『はるねこ』(講談社)、『せいちゃん』(ひさかたチャイルド)、『ころんちゃん』(アリス館)などたくさんあって、ほんわかあったかい絵柄と物語が魅力です。
おすすめ対象年齢
この絵本『ぼくのくつ』の対象年齢は 4歳〜6歳くらい。見開きいっぱいの絵とやさしい言葉でやりとりが描かれてて、読み聞かせにも自分で読むにもぴったり。この年齢って“ものへのこだわり”や“成長への気づき”が芽生える頃だから、ぴったりなタイミングです!
レビュー
この絵本、読んでると本当に心がぽかぽかしてきます。新しい靴をもらって「ちょっと大きいけど嬉しい!」って気持ちがすっごくかわいくて、それだけでグッとくるのに、「でも古い靴がしょんぼりしている…」っていう“ものを大事にする気持ち”がじんわり心に響いて、胸にきゅっとくる。絵もふわっとあったかくて、子どものころの自分と靴との思い出が蘇る感じ。洗濯してワッペンをつけてもらった古い靴で元気に歩き出すキラキラした姿には、「大きくなってるよ!」って応援したくなるし、自分もちょっと背伸びしてみたくなる。成長と愛着、春の始まりをふんわり感じさせてくれる、ほんとに素敵な絵本だと思います。