『みょうがやど』は、川端誠さん作・絵の落語絵本シリーズ第15巻で、2012年にクレヨンハウスから出版されました。タイトルの通り「茗荷を食べると物忘れをする」という言い伝えを宿屋の夫妻が悪用し、みょうが尽くしのもてなしで客から忘れ物を期待します。ところが翌朝、忘れ物どころか、宿代の支払いすらしていないことに気づき…とユーモラスに展開!みょうが布団、みょうがプリンなど“みょうがオンパレード”の場面が続き、その豊かなイラストとテンポよい語り口で、落語ならではのオチがわかりやすく楽しめます。読み聞かせにもぴったりの作品です。
略歴
川端 誠
川端 誠(かわばた まこと)さんは、1952年に新潟県長岡市で生まれた絵本作家・イラストレーターです。多摩美術大学を卒業後、デザインやイラストレーションの仕事を経て、絵本制作の道に進みました。1980年代から絵本作家としての活動を本格化させ、特に古典落語や日本の伝統文化を題材にした作品で知られています。代表作には、落語絵本シリーズの『じゅげむ』『はつてんじん』『めぐろのさんま』などがあり、ユーモラスな語り口と温かみのあるイラストで、子どもから大人まで幅広い読者に親しまれています。また、古典文学を題材にした『平家物語』や『源氏物語』の絵本化にも取り組み、日本の伝統文化をわかりやすく伝える作品を多数手がけています。その功績により、数々の児童文学賞を受賞し、日本の絵本界において重要な存在となっています。
おすすめ対象年齢
この絵本は、6歳頃から楽しめる一冊です。特に、みょうが尽くしのユーモアや「物忘れ」設定にクスっと笑えるのは、文字数も多いので6歳以上がちょうど良い感覚でしょう。パパママが声に出して読んでもテンポがよく、親子で会話が弾みやすいです。日本の言い伝えや笑いの要素に自然と触れられるので、落語への第一歩としてもおすすめです
レビュー
『みょうがやど』は、本当に楽しい落語絵本!「みょうがを食べると物忘れする」なんて昔話の「あるある」をうまく使って、宿屋の夫婦のずる賢さからのおちが見事。みょうがだらけの布団やプリンなど、イラストがとにかく映えて、そのシュールさに笑っちゃいます。読み聞かせでは、みょうが連発のフレーズがクセになって、つい一緒に声を出してしまうくらい。最後のオチ、「宿代忘れてったよ!」って気づいた時のスカッと感も最高です。言い伝えから生まれる笑いに、子どもも大人もにっこり。日本の昔の笑いのツボを、手軽に楽しめる一冊です。