こねこのさがしもの/マーガレット・ワイズ・ブラウン

『こねこのさがしもの』は、マーガレット・ワイズ・ブラウンが作、レナード・ワイスガードが絵を手がけた絵本で、原作名は『Pussy Willow』です。本作は、ねずみ色の柔らかな毛並みを持つ子猫が、大好きなネコヤナギの花を探して旅に出る物語です。春夏秋冬、季節の移ろいの中でさまざまな生き物たちと出会い、冒険を続ける子猫の姿が描かれています。各ページには多くの草花、昆虫、鳥、動物たちが登場し、まるで四季を通した生き物図鑑のような構成となっています。日本語版は安藤紀子の翻訳により、2023年にロクリン社から出版されました。

略歴

マーガレット・ワイズ・ブラウン

マーガレット・ワイズ・ブラウン(Margaret Wise Brown, 1910-1952)は、アメリカを代表する児童文学作家で、多くの子どもたちに愛される絵本を生み出しました。特に『おやすみなさい おつきさま』(Goodnight Moon)は、彼女の代表作として知られています。ニューヨーク生まれのブラウンは、幼少期から動物や自然への関心を持ち、のちにホリンズ大学で教育を学びました。後、教師として働きながら執筆活動を開始。彼女の作品は、シンプルでリズミカルな言葉遣いと、子どもの感性を捉えた内容が特徴です。若くして急逝しましたが、その作品は今もなお、多くの読者に親しまれています。

レナード・ワイスガード(絵)

レナード・ワイスガード(Leonard Weisgard、1916年 – 2000年)は、アメリカの絵本作家・イラストレーターです。1947年に『The Little Island』でコールデコット賞を受賞し、その後も多くの作品で高い評価を得ました。彼のイラストは、独特の色彩感覚とデザイン性が特徴で、絵本の世界に新しい風を吹き込みました。マーガレット・ワイズ・ブラウンとのコンビで多くの作品を手がけ、その中でも『たいせつなこと』は代表作の一つとされています。

安藤 紀子(訳)

安藤紀子(あんどうのりこ)は、英語圏の児童文学作家の作品の翻訳・紹介や、英米の古い未訳絵本の見直しと紹介に取り組んでいる翻訳家です。これまでに、ジリアン・クロスやジェイムズ・マーシャル、ロビン・クラインなどの作品を手がけてきました。主な訳書には、『ペニーの日記 読んじゃだめ』(偕成社)、『コヨーテのはなし』(徳間書店)、『バーバラ・レオニ・ピカード 7つの国のおとぎ話』(洋洋社)、レナード・ワイスガード絵の『ちいさなうさぎのものがたり』(ロクリン社)などがあります。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、4歳から6歳頃とされています。物語の内容やイラストの豊かさから、この年齢層の子どもたちが楽しめる作品となっています。

レビュー

『こねこのさがしもの』は、季節ごとの自然の美しさと、子猫の冒険を通じて成長する姿が丁寧に描かれています。レナード・ワイスガードの繊細で色彩豊かなイラストレーションは、読者を物語の世界に引き込み、四季折々の風景や生き物たちの魅力を存分に伝えています。また、マーガレット・ワイズ・ブラウンの温かみのある文章は、子どもたちに安心感と共感を与え、読み聞かせにも最適です。親子で一緒に季節の移ろいや自然の豊かさを感じながら、物語を楽しむことができる一冊です。