
『ぜったいがっこうにはいかないからね』は、イギリスの絵本作家ローレン・チャイルドによる『チャーリーとローラ』シリーズの一冊です。原作の英語タイトルは『I Am Too Absolutely Small for School』で、2003年にイギリスで発行されました。日本語版は木坂涼の翻訳により、2004年にフレーベル館から初版が刊行され、2016年に新装版が発売されています。物語は、学校に行くのを嫌がる妹ローラと、彼女を説得しようとする兄チャーリーのやり取りを描いており、ローラの空想上の友だちソレンも登場します。
略歴
ローレン・チャイルド
ローレン・チャイルド(Lauren Child,1965生まれ)は、イギリスの著名な絵本作家であり、イラストレーターとしても活躍しています。彼女は3人姉妹の真ん中でイギリス・ウィルトシャーで育ちました、大学で美術やデザインを学んだ後、インテリアデザインやアニメーションの分野で働きました。しかし、その後は絵本制作に力を入れ、自身のユニークな作風で注目を集めました。
彼女の代表作である『チャーリーとローラ(Charlie and Lola)』シリーズは、子どもの独特な感性や日常の小さな出来事を楽しく描き、子どもから大人まで幅広い読者に愛されています。このシリーズはテレビアニメ化され、さらに人気を博しました。『ぜったいたべないからね』(I Will Not Ever Never Eat a Tomato)は、チャーリーとローラシリーズの最初の作品で、2000年に発表されると同時に話題となり、2001年にはケイト・グリーナウェイ賞を受賞しています。
彼女の作風は、コラージュや色鮮やかなデザインが特徴で、子どもたちの視点や心理を見事に表現しており、読者に楽しさと共感を与えます。また、ローレン・チャイルドは「クラリス・ビーン(Clarice Bean)」や「ルビー・レッドフォート(Ruby Redfort)」シリーズといった他の作品も執筆し、幅広い層に支持されています。彼女の作品は、世界中で翻訳され、国際的にも高く評価されています。
木坂 涼(訳)
木坂涼(きさか りょう)さんは、1958年、埼玉県生まれ。和光大学人文学部芸術学科を卒業後、博報堂に勤務されました。1981年、自費出版の詩集『じかんはじぶんを』で詩人としてデビューし、その独特な作風が注目を集めました。1987年には詩集『ツッツッと』で第5回現代詩花椿賞を受賞し、1997年には『金色の網』で芸術選奨文部大臣新人賞を受賞されています。詩人としての活動に加え、エッセイスト、絵本作家、翻訳家としても幅広く活躍されています。特に、創作絵本や海外の児童文学の翻訳に力を入れており、代表作には『みんなおっぱいのんでたよ』(福音館書店)や『あいうえたいそう』(偕成社)などがあります。また、翻訳作品としては『ねずみの歯いしゃさんアフリカへいく』や『ヨセフのだいじなコート』など、多数の絵本を手掛けています。現在も、詩や絵本の創作、翻訳を通じて、子どもから大人まで幅広い読者に親しまれる作品を提供し続けています。
おすすめ対象年齢
対象年齢は3歳から6歳、小学1年生向けとされています。物語のテーマやキャラクターの年齢設定が、この年齢層の子どもたちに共感を呼ぶ内容となっているためです。
レビュー
本書は、学校生活への不安や期待を抱く子どもたちの心情を、ユーモラスかつ温かく描いています。ローラの個性的なキャラクターと、彼女を優しく導く兄チャーリーの姿が印象的で、兄妹の絆や成長が感じられる作品です。また、ローラの空想上の友だちソレンの存在が、子どもの豊かな想像力を象徴しており、読者に微笑ましい印象を与えます。ローレン・チャイルドの独特なイラストレーションとコラージュ技法が、物語の魅力を一層引き立てており、親子で楽しめる一冊と言えるでしょう。