よるのさかなやさん/穂高 順也

『よるのさかなやさん』(作:穂高順也/絵:山口マオ)は、2016年に文溪堂から刊行された夜のファンタジー絵本。昼間は「ピチピチで新鮮!」と評判のお魚屋さんの魚たちが、店が閉まると命を吹き返し、夜空を泳ぎ出すんです。「さあ しんだふりをやめるじかんが きたようだ」というセリフの後、タコやイカ、カニが あまのがわで釣りをします。ユーモアあふれる展開に、思わずニヤリ。山口マオさんの木版画は力強くもどこか愛嬌があって、夜の秘密と遊び心を見事に表現しています。大人も子どもも楽しめる絵本です!

略歴

穂高 順也

穂高順也(ほたかじゅんや,1969年愛知県生まれ)は、保育専門学校を卒業後、幼稚園・保育園に勤務。その経験を活かして1999年、『さるのせんせいとへびのかんごふさん』(絵:荒井良二)で絵本作家デビューしました。以降、日本児童文芸家協会理事として、30冊を超える絵本や童話を執筆。代表作には『ぼくのえんそく』『ちゅうしゃなんかこわくない』『どろぼうだっそうだいさくせん!』『マーロンおばさんのむすこたち』などがあり、保育・教育現場での実体験をユーモアたっぷりに作品に反映しています。絵本作家として子どもに寄り添った創作を続ける一方、カルチャースクールの講師も務めています。

山口 マオ(絵)

山口マオさん(やまぐちまお,1958年千葉県生まれ)は、東京造形大学絵画科を卒業後、木版画を主軸にイラストレーター、版画家として活動。絵本「わにわに」シリーズのほか、『てのひらむかしばなし 十二支のはじまり』や『かにのしょうばい』『なりました』などを手がけ、雑誌・広告・グッズなど多岐に展開。福音館書店、岩波書店、鈴木出版などで作品を発表。絵本づくりでは、作家との共同作業を経て唯一無二の世界観を築くスタイルが特徴です。

おすすめ対象年齢

対象はおおむね3~5歳ころ。夜の世界と魚たちのユニークな大冒険が、幼児期の想像力をかき立てます。擬音や動きが豊富だから、声に出しての読み聞かせにぴったり。夜や生き物の“ひみつ”を感じさせながら、お話に引き込む力があるので、小さな子どもでも飽きずに楽しめる一冊です。

レビュー

この絵本、めちゃくちゃ面白いです!昼は動かない魚が、夜になると自由に遊びだすというアイデアが斬新すぎて一度読むと忘れられません。タコたちが釣りをする姿を木版画で描く山口マオさんの表現力が格別であまのがわの静けさまで伝わってくるよう。何気ない“死んだふり”という設定がひらめきと遊び心に変わっていく展開に、子どもだけでなく大人もニヤリ。読み聞かせでは「しんだふりをやめるじかんがきたようだ」とリズムよく声に出すと場が盛り上がります。読後には「魚って夜も生きてるのかな?」と想像が広がる、夢とユーモアがぎゅっと詰まった一冊です。