ネコヅメのよる/町田 尚子

町田尚子さんの『ネコヅメのよる』(2021年 岩崎書店)は、猫好きにはたまらないファンタジックな一冊です。ある夜、猫たちがこっそり集まり、待ちに待った“とあるできごと”を見届ける物語。静かな夜の街並みに、たくさんの猫たちがぞろぞろと現れる場面は迫力がありながらユーモラス。何が起こるのかとワクワクさせられ、最後に広がる光景には不思議な余韻が残ります。町田さんならではの写実的でありながら幻想的な猫の絵が魅力で、大人も子どもも楽しめる作品です。

略歴

町田 尚子

町田尚子(まちだなおこ)さんは1968年東京都生まれ、武蔵野美術大学短期大学部を卒業されたイラストレーター・絵本作家です。2007年に『小さな犬』で絵本デビュー。その後、『ネコヅメのよる』『さくらいろのりゅう』『いるのいないの』『おばけにょうぼう』など、温かみのある絵で人気を博してきました。猫が登場する絵本は特に評判が高く、『なまえのないねこ』でもその繊細かつ愛らしいタッチが光ります。複数の絵本賞を受賞しており、猫愛あふれる作品を中心に活躍中です

おすすめ対象年齢

『ネコヅメのよる』は、3歳くらいから小学校低学年の子どもにおすすめとされています。言葉はシンプルですが、絵の迫力や幻想的な雰囲気は年齢を問わず味わえるため、大人が読んでも十分楽しめます。猫が好きな子や、不思議な夜の物語に興味をもつ子どもにぴったりの絵本です。

レビュー

初めて読んだとき、ページをめくるごとに増えていく猫たちの存在感に圧倒されました。写実的なのに幻想的で、まるで本当に夜の街で猫たちがひそかに集まっているような臨場感があります。特に、猫たちが「いそげ、いそげ」と集まる場面は、こちらまで胸が高鳴るようでした。ラストの広がる景色は言葉では説明できない美しさがあり、読み終えた後もしばらく余韻に浸れます。猫好きな私にとっては宝物のような一冊で、子どもと一緒に読むとまた違った発見がありそうです。