『うさこちゃんの だんす』は、ディック・ブルーナが2002年にオランダで刊行した Nijntje danst の日本語版。ダンスを習ったうさこちゃんが、お父さん・お母さん・おじいちゃん・おばあちゃん、そしてボリスやうたこさんにもステップを披露し、みんなでいっしょに体を揺らします。ブルーナさんらしい太い線と原色がリズムを際立たせ、ページをめくるたび手拍子したくなる一冊。日本語版は2009年に福音館書店から発売され、訳はまつおかきょうこさん。読む側まで踊り出したくなる“参加型”の楽しさが光ります。
略歴
ディック・ブルーナ
ディック・ブルーナ(Dick Bruna、1927年〜2017年)は、オランダ・ユトレヒト生まれの絵本作家・グラフィックデザイナー。父の出版社でデザインの仕事をするかたわら、1953年ごろから絵本制作を開始。代表作は「うさこちゃん」シリーズで、世界的に知られるキャラクター「ミッフィー(nijntje)」を誕生させました。ミニマルな線と明快な色づかいで、子どもから大人まで長く愛されています。著作は50か国以上で翻訳され、総発行部数は8500万部以上にのぼります。
松岡 享子(訳)
松岡享子(まつおかきょうこ,1935-2022)さんは、日本の児童文学研究者、翻訳家、図書館司書です。神戸女学院大学を卒業後、ウェスタン・ミシガン大学で修士号を取得されました。帰国後は、福音館書店に勤務し、東京都立日比谷図書館で児童サービスにも携わられました。1974年には「東京子ども図書館」を設立し、児童書の普及に尽力されました。代表作に『とこちゃんはどこ』『おふろだいすき』、また、『しろいうさぎとくろいうさぎ』や「くまのパディントン」などの翻訳も手掛けられました。著作・翻訳は200冊以上にのぼり、文化功労者としても顕彰され、児童文学の発展に大きく貢献されました。
おすすめ対象年齢
公式の目安は「読んであげるなら2歳から」。短い文と繰り返しのリズムが心地よく、ダンスごっこが好きになり始める幼児期にぴったり。絵だけでも動きを想像しやすいので、1歳ころからの読み聞かせにも◎。
レビュー
うさこちゃんがダンスを習って、自信たっぷりにみんなに見せてまわる姿がとってもチャーミング。最初にお父さんとお母さん、次におじいちゃんとおばあちゃん、そして親戚やおともだちのボリスとうたこさんへと、次々にステップを披露する展開がテンポよくて楽しいです。読んでいるこちらも思わず体を揺らしたくなるような、軽やかで明るい雰囲気が魅力。うさこちゃんの「やってみたい!見てほしい!」という素直な気持ちが伝わってきて、子どもたちもきっと共感できるはず。読み終わったあとは、親子で一緒に踊り出したくなる元気いっぱいの一冊です。