『ゆきのひのうさこちゃん』は、オランダの人気絵本作家ディック・ブルーナが手がけた“ミッフィー”シリーズの一冊。原作タイトルは『nijntje in de sneeuw』で、オランダでは1963年に出版、日本語版は1972年に刊行されました(訳:いしいももこ)。ある雪の日、うさこちゃんが外に出て、そり遊びをしたり、雪だるまを作ったりするほのぼのしたストーリー。シンプルな線と明るい色彩、やさしいことばで、冬の一日を楽しく描いています。
略歴
ディック・ブルーナ
ディック・ブルーナ(Dick Bruna、1927年〜2017年)は、オランダ・ユトレヒト生まれの絵本作家・グラフィックデザイナー。父の出版社でデザインの仕事をするかたわら、1953年ごろから絵本制作を開始。代表作は「うさこちゃん」シリーズで、世界的に知られるキャラクター「ミッフィー(nijntje)」を誕生させました。ミニマルな線と明快な色づかいで、子どもから大人まで長く愛されています。著作は50か国以上で翻訳され、総発行部数は8500万部以上にのぼります。
石井桃子(訳)
石井桃子(いしいももこ、1907 – 2008)さんは、日本の児童文学作家・翻訳家で、子どもたちに優れた海外文学を紹介することに尽力しました。東京大学文学部を卒業後、出版社で働きながら翻訳を始め、やがて児童文学の世界で活躍するようになります。彼女は翻訳の名手として知られ、アメリカやヨーロッパの名作を日本語に翻訳し、多くの子どもたちに親しまれる作品を生み出しました。特に『クマのプーさん』や「ピーターラビット」シリーズの翻訳で高い評価を得ています。また、児童書編集者としても活動し、日本初の絵本専門出版社「岩波書店の岩波こどもの本」シリーズの立ち上げに携わり、質の高い絵本の普及に貢献しました。晩年には、自らの創作活動にも力を入れ、『ノンちゃん雲に乗る』などの作品で知られています。彼女の翻訳は、原作の魅力を忠実に伝えるだけでなく、日本語の美しさを引き出し、親しみやすい表現を用いる点で評価されています。彼女の活動は、日本における児童文学の発展に大きく寄与し、現在も多くの読者に影響を与え続けています。彼女の業績は、日本と世界の子どもたちを繋ぐ架け橋として輝き続けています。
おすすめ対象年齢
この絵本は、0歳〜4歳くらいの子にぴったり。短くてリズミカルな文章と、わかりやすいイラストで、小さな子どもでも楽しく最後まで読めます。雪遊びという親しみやすいテーマなので、冬のおはなし会や季節の読み聞かせにもおすすめです。絵本デビューにも◎。
レビュー
読んでいて、まるで一緒に雪の中を歩いているような気持ちになる絵本です。うさこちゃんがそりに乗って、雪を踏みしめて、雪だるまを作って…そんな何気ない冬の一日が、とってもあたたかく感じられるんです。イラストは相変わらずシンプルなのに、雪の冷たさや冬の楽しさがちゃんと伝わるのが不思議。うさこちゃんの冒険はいつも心をほっこりさせてくれるなぁと思いました。寒い日には、毛布にくるまりながら親子で読んでほしい一冊です。