おいもさんがね・・/とよた かずひこ

とよたかずひこさんの『おいもさんがね・・』(2012年 童心社)は、畑から顔を出したおいもさんたちが、つるを引っぱられて「すっぽーん!」と飛び出し、ころころ転がって大冒険するユーモラスな絵本です。坂を転がり落ちて水に落ちたおいもさんたちが「ひゃ~つめたい!」と大騒ぎする場面は読み聞かせでも盛り上がりそう。さらに炎くんの「ぽっぽっぽっ」という登場がリズミカルで楽しく、子どもたちの笑いを誘います。繰り返しのリズムや言葉遊びがいっぱいで、小さなお子さんの耳にも心地よく響く一冊です。

略歴

とよた かずひこ

とよたかずひこ(本名:豊田 一彦)さんは、1947年、宮城県仙台市に生まれました。早稲田大学第一文学部を卒業されています。大学卒業後はフリーのイラストレーターとして活動し、長女の誕生をきっかけに絵本作家へと転身しました。1997年には『でんしゃにのって』で厚生省中央児童福祉審議会児童文化財特別推薦を受け、2001年には『どんどこ ももんちゃん』で第7回日本絵本賞を受賞しています。また、『あめですよ』は小学1年生の国語教科書(東京書籍)に採用されるなど、多くの作品が親しまれています。

おすすめ対象年齢

『おいもさんがね・・』の対象年齢は1歳ごろからがおすすめです。シンプルな言葉のリズムや繰り返し表現、ころころ転がる楽しい展開は幼児にぴったり。絵も親しみやすく、読み聞かせを通じて想像力を広げることができます。

レビュー

この絵本は、読み進めるうちに自然と声に出して楽しみたくなるリズミカルさが魅力だと感じました。おいもさんたちの「すっぽーん!」や「ひゃ~つめたい!」といったセリフは、子どもが一緒に口にするのにもぴったり。ユーモアがありながらも、自然の中での出来事を題材にしているので親しみやすく、ほっこりした気持ちになります。最後に炎くんがやってくる場面もかわいらしく、読み終えた後に思わず笑顔になる一冊でした。