『あるはれたひに』は、きむらゆういちさん作、あべ弘士さん絵による「あらしのよるに」シリーズの第2巻で、1996年に講談社から出版されました。嵐の夜に出会い、互いの正体を知らないまま友情を育んだオオカミとヤギ。翌日、晴れた日に再会した二匹は、相手が天敵であることに気づきます。友情と本能の間で揺れる二匹の心情が描かれた、ドキドキの続編です。シリーズ全体で累計380万部を超えるロングセラーとなっています。
略歴
きむら ゆういち
きむら ゆういちさん(本名:木村 裕一)は、1948年東京都生まれ。多摩美術大学を卒業後、造形教育の指導やテレビ幼児番組のアイディアブレーンなどを経て、絵本・童話作家として活躍されています。代表作には『あらしのよるに』シリーズ(講談社)や『あかちゃんのあそびえほん』シリーズ(偕成社)などがあり、国内外で1000冊以上の著書があります。『あらしのよるに』で講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版文化賞JR賞を受賞。また、純心女子大学の客員教授も務められています。
あべ 弘士(絵)
あべ 弘士(あべ ひろし)さんは1948年北海道旭川市生まれ。高校卒業後、旭山動物園の飼育員として25年間勤務し、その経験を活かして絵本作家へ転身。動物のリアルな描写や、力強くもやさしい絵が特徴で、『あらしのよるに』や『ゴリラにっき』など数々の作品を発表。1995年に『あらしのよるに』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。現在も北海道を拠点に、動物のいのちや自然をテーマに創作を続けています。
おすすめ対象年齢
『あるはれたひに』は、5歳から7歳以上の子どもたちにおすすめの絵本です。文字数が多めで、ストーリーも深みがあるため、読み聞かせでは5歳頃から、一人読みでは小学校低学年からが適しています。登場キャラクターの心の葛藤や友情の大切さを感じ取ることができ、成長段階に応じてさまざまな気づきを得られる作品です。
レビュー
この作品は、オオカミとヤギの再会シーンが特に印象的でした。お互いの正体を知ったときの驚きや戸惑い、そしてそれでも友情を大切にしようとする姿に心を打たれます。オオカミとヤギを食べたいという本能と、友だちでいたいという気持ちの間で葛藤する場面は、大人でも考えさせられる深いテーマです。あべ弘士さんの力強くも温かみのあるイラストが、物語の緊張感と優しさを見事に表現しています。子どもと一緒に読むことで、親子の会話も広がる素敵な絵本です。