『クリスマス・イブ』は、マーガレット・ワイズ・ブラウンが1938年にアメリカで発表した作品「On Christmas Eve」を原作とし、1961年にベニ・モントレソールがイラストを手掛けました。日本では、矢川澄子さんの翻訳により、1976年にほるぷ出版から初版が刊行され、2003年に新版が発売されています。物語は、クリスマス・イブの夜、眠れない子どもたちがベッドを抜け出し、クリスマスツリーに願いを込める冒険を描いています。静かな雪の夜と子どもたちの期待感が、美しいイラストとともに表現された作品です。
略歴
マーガレット・ワイズ・ブラウン
マーガレット・ワイズ・ブラウン(Margaret Wise Brown, 1910-1952)は、アメリカを代表する児童文学作家で、多くの子どもたちに愛される絵本を生み出しました。特に『おやすみなさい おつきさま』(Goodnight Moon)は、彼女の代表作として知られています。ニューヨーク生まれのブラウンは、幼少期から動物や自然への関心を持ち、のちにホリンズ大学で教育を学びました。後、教師として働きながら執筆活動を開始。彼女の作品は、シンプルでリズミカルな言葉遣いと、子どもの感性を捉えた内容が特徴です。若くして急逝しましたが、その作品は今もなお、多くの読者に親しまれています。
ベニ・モントレソール(絵)
ベニ・モントレソール(Beni Montresor、1926年 – 2001年)は、イタリア・ヴェネト州ブッソレンゴ出身の芸術家です。オペラ演出家、映画監督、舞台美術家、衣裳デザイナー、絵本作家として多彩な才能を発揮しました。1953年から1959年にかけて、イタリア映画の美術監督や衣裳デザイナーとして活躍し、1960年にアメリカへ移住。1965年には、絵本『ともだちつれてよろしいですか』でコールデコット賞を受賞しています。また、トニー賞に3度ノミネートされるなど、舞台芸術の分野でも高い評価を受けました。
やがわすみこ(訳)
やがわすみこ(1930年 – 2002年)は、東京出身の詩人・小説家・翻訳家です。東京女子大・学習院大卒業後、岩波書店の校正者を経て、英仏独文学の翻訳家として活躍しました。詩集『ことばの国のアリス』や小説『失われた庭』などの著作があり、児童書やファンタジーの名訳者としても名を馳せました。また、『ぞうのババール』シリーズを含む多数の絵本の訳を手がけました。その豊かな文学的背景と確かな翻訳技術によって、日本の児童文学界に大きな影響を残しています。
おすすめ対象年齢
『クリスマス・イブ』は、4歳以上の子どもを対象としています。クリスマス・イブの特別な雰囲気や、子どもたちの冒険心を描いており、親子での読み聞かせにも最適です。
レビュー
この絵本は、クリスマス・イブの夜に子どもたちが体験する小さな冒険を、美しいイラストとともに描いています。静かな雪の夜と、子どもたちの期待感が巧みに表現されており、読者もその世界に引き込まれることでしょう。マーガレット・ワイズ・ブラウンの温かみのある文章と、ベニ・モントレソールの幻想的なイラストが融合し、クリスマスの特別な時間を味わえる一冊です。


