『まんげつのよるに』は、きむらゆういちさん作、あべ弘士さん絵による「あらしのよるに」シリーズの第7巻で、2005年に講談社から出版されました。オオカミのガブとヤギのメイの種を超えた友情を描いたシリーズの完結編です。前作での雪崩の後、メイはガブと再会しますが、ガブは記憶を失っており、メイをただのエサとしか認識しません。メイの「ああ、あの”あらしのよる”に出会わなければ」という言葉がきっかけで、ガブの記憶が戻り、再び友情を取り戻す感動の物語です。
略歴
きむら ゆういち
きむら ゆういちさん(本名:木村 裕一)は、1948年東京都生まれ。多摩美術大学を卒業後、造形教育の指導やテレビ幼児番組のアイディアブレーンなどを経て、絵本・童話作家として活躍されています。代表作には『あらしのよるに』シリーズ(講談社)や『あかちゃんのあそびえほん』シリーズ(偕成社)などがあり、国内外で1000冊以上の著書があります。『あらしのよるに』で講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版文化賞JR賞を受賞。また、純心女子大学の客員教授も務められています。
あべ 弘士(絵)
あべ 弘士(あべ ひろし)さんは1948年北海道旭川市生まれ。高校卒業後、旭山動物園の飼育員として25年間勤務し、その経験を活かして絵本作家へ転身。動物のリアルな描写や、力強くもやさしい絵が特徴で、『あらしのよるに』や『ゴリラにっき』など数々の作品を発表。1995年に『あらしのよるに』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。現在も北海道を拠点に、動物のいのちや自然をテーマに創作を続けています。
おすすめ対象年齢
『まんげつのよるに』は、5歳くらいから小学校中学年くらいまでの子どもにおすすめです。シリーズの中でも感情の動きが繊細に描かれており、登場キャラクターの心情を理解する力があるとより深く楽しめます。読み聞かせにも向いていますが、特に一人読みができる年齢になると、物語のテーマや結末の意味をしっかり受け止められるはずです。シリーズを通して読むことで、より感動が深まります。
レビュー
この作品では、ガブとメイの友情が試される場面が描かれており、読んでいて胸が締め付けられるような思いになりました。ガブの記憶喪失という展開には驚きましたが、メイの一言で記憶が戻るシーンは感動的でした。あべ弘士さんの力強くも繊細なイラストが、登場キャラクターの心情を見事に表現しており、物語に引き込まれました。シリーズの締めくくりにふさわしい一冊です。