
『ぜったいひとつだからね』は、ローレン・チャイルド作、木坂涼さん訳の絵本で、原題は『Charlie and Lola: One Thing』です。本作はイギリスで2015年に発行され、日本語版は2016年にフレーベル館から出版されました。物語は、兄のチャーリーと妹のローラの微笑ましい日常を描くシリーズの一作で、今回は数字に夢中なローラが「なにかひとつ」だけ買う約束を巡って、独特の数え方でチャーリーを困らせる様子がユーモラスに描かれています。ローラの自由奔放な発想と、それに振り回されながらも優しく見守るチャーリーの姿が印象的です。また、カラフルで個性的なイラストが物語を一層魅力的にしています。
略歴
ローレン・チャイルド
ローレン・チャイルド(Lauren Child,1965生まれ)は、イギリスの著名な絵本作家であり、イラストレーターとしても活躍しています。彼女は3人姉妹の真ん中でイギリス・ウィルトシャーで育ちました、大学で美術やデザインを学んだ後、インテリアデザインやアニメーションの分野で働きました。しかし、その後は絵本制作に力を入れ、自身のユニークな作風で注目を集めました。
彼女の代表作である『チャーリーとローラ(Charlie and Lola)』シリーズは、子どもの独特な感性や日常の小さな出来事を楽しく描き、子どもから大人まで幅広い読者に愛されています。このシリーズはテレビアニメ化され、さらに人気を博しました。『ぜったいたべないからね』(I Will Not Ever Never Eat a Tomato)は、チャーリーとローラシリーズの最初の作品で、2000年に発表されると同時に話題となり、2001年にはケイト・グリーナウェイ賞を受賞しています。
彼女の作風は、コラージュや色鮮やかなデザインが特徴で、子どもたちの視点や心理を見事に表現しており、読者に楽しさと共感を与えます。また、ローレン・チャイルドは「クラリス・ビーン(Clarice Bean)」や「ルビー・レッドフォート(Ruby Redfort)」シリーズといった他の作品も執筆し、幅広い層に支持されています。彼女の作品は、世界中で翻訳され、国際的にも高く評価されています。
木坂 涼(訳)
木坂涼(きさか りょう)さんは、1958年、埼玉県生まれ。和光大学人文学部芸術学科を卒業後、博報堂に勤務されました。1981年、自費出版の詩集『じかんはじぶんを』で詩人としてデビューし、その独特な作風が注目を集めました。1987年には詩集『ツッツッと』で第5回現代詩花椿賞を受賞し、1997年には『金色の網』で芸術選奨文部大臣新人賞を受賞されています。詩人としての活動に加え、エッセイスト、絵本作家、翻訳家としても幅広く活躍されています。特に、創作絵本や海外の児童文学の翻訳に力を入れており、代表作には『みんなおっぱいのんでたよ』(福音館書店)や『あいうえたいそう』(偕成社)などがあります。また、翻訳作品としては『ねずみの歯いしゃさんアフリカへいく』や『ヨセフのだいじなコート』など、多数の絵本を手掛けています。現在も、詩や絵本の創作、翻訳を通じて、子どもから大人まで幅広い読者に親しまれる作品を提供し続けています。
おすすめ対象年齢
対象年齢は3歳から6歳、小学1年生向けとされています。物語の内容や表現がこの年齢層に適しており、子どもたちの興味を引きやすい構成となっています。
レビュー
本作は、子どもの自由な発想と大人の常識とのギャップをユーモラスに描いており、親子で楽しめる内容です。ローラの独特な数え方や考え方は、子どもならではの純粋さと創造力を感じさせ、大人にとっても新鮮な視点を提供してくれます。また、兄のチャーリーが妹を優しく見守り、柔軟に対応する姿勢は、子ども同士の関係性や兄弟愛の大切さを伝えています。イラストも鮮やかで視覚的に楽しめるため、読み聞かせにも最適な一冊です。