『うさこちゃんのおじいちゃんとおばあちゃん』は、オランダの絵本作家ディック・ブルーナによる心あたたまる絵本。原題は Opa en Oma Pluis、1983年にオランダで出版されました。日本語版は1993年に福音館書店から刊行され、訳はまつおかきょうこさん。うさこちゃんが大好きなおじいちゃん・おばあちゃんのおうちを訪ね、スクーターを作ってもらったり、お茶を飲んだり、ゆったりとした時間を過ごす様子が描かれています。鮮やかな色とシンプルな線で、祖父母との優しい関係を感じさせてくれる一冊です。
略歴
ディック・ブルーナ
ディック・ブルーナ(Dick Bruna、1927年〜2017年)は、オランダ・ユトレヒト生まれの絵本作家・グラフィックデザイナー。父の出版社でデザインの仕事をするかたわら、1953年ごろから絵本制作を開始。代表作は「うさこちゃん」シリーズで、世界的に知られるキャラクター「ミッフィー(nijntje)」を誕生させました。ミニマルな線と明快な色づかいで、子どもから大人まで長く愛されています。著作は50か国以上で翻訳され、総発行部数は8500万部以上にのぼります。
松岡 享子(訳)
松岡享子(まつおかきょうこ,1935-2022)さんは、日本の児童文学研究者、翻訳家、図書館司書です。神戸女学院大学を卒業後、ウェスタン・ミシガン大学で修士号を取得されました。帰国後は、福音館書店に勤務し、東京都立日比谷図書館で児童サービスにも携わられました。1974年には「東京子ども図書館」を設立し、児童書の普及に尽力されました。代表作に『とこちゃんはどこ』『おふろだいすき』、また、『しろいうさぎとくろいうさぎ』や「くまのパディントン」などの翻訳も手掛けられました。著作・翻訳は200冊以上にのぼり、文化功労者としても顕彰され、児童文学の発展に大きく貢献されました。
おすすめ対象年齢
対象年齢は読んであげるなら3歳くらいから。特に、おじいちゃん・おばあちゃんとの交流があるお子さんにはぴったり。穏やかな日常のやりとりや、孫を見守る祖父母のまなざしが、子どもにとって安心感を与えてくれます。はじめて祖父母の家に行く前に読むのもおすすめ。
レビュー
この絵本を読むと、まるで自分もおじいちゃん・おばあちゃんの家に遊びに行ったような気分になります。うさこちゃんがスクーターに乗ったり、編み物を教わったりする様子が、ゆったりとした時間の流れを感じさせてくれて癒されます。特別な冒険はないけれど、ふだんの何気ないやりとりにこそ温もりがあることを教えてくれる一冊。孫と祖父母の絆を感じたいときに読みたい、やさしい気持ちになれる絵本です。