おたすけこびととハムスター/なかがわちひろ

『おたすけこびととハムスター』は、なかがわちひろ作、コヨセ・ジュンジ絵による「おたすけこびと」シリーズの第4作で、2012年に徳間書店から発行されました。物語は、ペットのハムスターのために回し車を作っていたお父さんが手をけがしてしまい、代わりにおたすけこびとたちが作業を引き継ぐという展開です。彼らはクレーン車やショベルカー、ブルドーザーなどの働く車を駆使し、ハムスターのための回し車を完成させます。作中では、こびとたちの細やかな作業やハムスターとの交流が丁寧に描かれており、子どもたちに大人気のシリーズとなっています。

略歴

なかがわちひろ

なかがわちひろ(中川千尋)は、1958年に関東地方で生まれ、転勤族の家庭で育ちました。小学4年生の秋から中学3年生の秋まで仙台で過ごし、高校時代にはアメリカ・サンディエゴに1年間留学しました。東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業後、劇団テアトル・エコーの座付き翻訳者としてコメディの翻訳に従事しましたが、子どもの本に強い関心を抱き、福武書店児童書編集部での翻訳活動を開始しました。以降、児童文学の作家、画家、翻訳家として多彩な作品を手がけています。翻訳作品には『ふしぎをのせたアリエル号』や『ちいさなあなたへ』などがあり、創作絵本には『のはらひめ』や「おたすけこびと」シリーズなどがあります。受賞歴も豊富で、『どうぶつがすき』で日本絵本賞翻訳絵本賞、『天使のかいかた』で日本絵本賞読者賞、『かりんちゃんと十五人のおひなさま』で野間児童文芸賞を受賞しています。彼女の作品は、子どもの豊かな感性を育むものとして高く評価されています。

コヨセ・ジュンジ(絵)

コヨセ・ジュンジさんは、1949年生まれ、福岡県出身のイラストレーター・絵本画家です。セツ・モードセミナーを卒業後、雑誌『アン・アン』『オリーブ』『BMWバイクス』などでイラストレーションを手がけ、単行本の装丁や表紙画も担当されました。
絵本作家としては、なかがわちひろさん文の「おたすけこびと」シリーズのイラストを担当し、これが初の絵本作品となりました。このシリーズは、ショベルカーやブルドーザーなどの働く車とこびとたちが活躍するユニークな内容で、国内外で高い評価を受けています。特に、アメリカのホーンブック誌の2008年のベストブックスに選ばれました。他の作品には、『こうじのくるま』『まちのくるま』(WAVE出版)などがあり、精密な描写で知られています。ねじの1本まで描くことを信条としており、その緻密なイラストレーションが多くの読者に支持されています。また、2024年には射水市大島絵本館で原画展が開催されるなど、精力的に活動を続けておられます。コヨセさんの作品は、子どもから大人まで幅広い層に愛されており、その独特の世界観と精密なイラストレーションが魅力となっています。

おすすめ対象年齢

出版社のおすすめは3歳からとなっていますが、働く車や小さなこびとたちの細やかな描写は、5歳以上の子どもたちにも十分楽しめる内容です。特に、働く車が好きな子どもや、細部まで描かれたイラストをじっくり観察するのが好きな子どもにおすすめです。また、ハムスターの可愛らしい姿も描かれているため、動物好きの子どもにも喜ばれるでしょう。

レビュー

『おたすけこびととハムスター』は、小さな「おたすけこびと」たちがチームワークを発揮し、働く車を使って問題を解決していく姿が非常に魅力的な作品です。特に、イラストの細やかさやユーモアあふれる展開は、子どもだけでなく大人も楽しめるものとなっています。特に、働く車と文房具が組み合わさったオリジナルの重機の登場シーンは、大人の興味も引くことでしょう。
また、働く車や道具が細かく描かれているため、観察力を育むきっかけにもなります。こびとたちが大きな機械を操る対比的な面白さも、読者を引きつけるポイントです。この絵本は、子どもたちの想像力を刺激し、ものづくりの楽しさや仲間と協力する大切さを自然に伝えてくれます。全体として、何度でも読み返したくなる、親子で楽しめる一冊だと感じました。

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