
『おたすけこびととおべんとう』は、なかがわちひろ作、コヨセ・ジュンジ絵による「おたすけこびと」シリーズの人気作です。2020年徳間書店から発行されました。物語は、ピクニックに出かけた子どものために、小さなこびとたちがチームワークを発揮し、働く車を駆使してお弁当を届けるという楽しい展開です。ショベルカーやトラック、フェリーなど、多くの働く車が登場し、子どもたちにとってわくわくする内容になっています。コヨセ・ジュンジさんの細部まで描かれたイラストは、大人も楽しめるクオリティで、読み聞かせにも最適です。働く車やチームワークの魅力が詰まった1冊です。
略歴
なかがわちひろ
なかがわちひろ(中川千尋)は、1958年に関東地方で生まれ、転勤族の家庭で育ちました。小学4年生の秋から中学3年生の秋まで仙台で過ごし、高校時代にはアメリカ・サンディエゴに1年間留学しました。東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業後、劇団テアトル・エコーの座付き翻訳者としてコメディの翻訳に従事しましたが、子どもの本に強い関心を抱き、福武書店児童書編集部での翻訳活動を開始しました。以降、児童文学の作家、画家、翻訳家として多彩な作品を手がけています。翻訳作品には『ふしぎをのせたアリエル号』や『ちいさなあなたへ』などがあり、創作絵本には『のはらひめ』や「おたすけこびと」シリーズなどがあります。受賞歴も豊富で、『どうぶつがすき』で日本絵本賞翻訳絵本賞、『天使のかいかた』で日本絵本賞読者賞、『かりんちゃんと十五人のおひなさま』で野間児童文芸賞を受賞しています。彼女の作品は、子どもの豊かな感性を育むものとして高く評価されています。
コヨセ・ジュンジ(絵)
コヨセ・ジュンジさんは、1949年生まれ、福岡県出身のイラストレーター・絵本画家です。セツ・モードセミナーを卒業後、雑誌『アン・アン』『オリーブ』『BMWバイクス』などでイラストレーションを手がけ、単行本の装丁や表紙画も担当されました。
絵本作家としては、なかがわちひろさん文の「おたすけこびと」シリーズのイラストを担当し、これが初の絵本作品となりました。このシリーズは、ショベルカーやブルドーザーなどの働く車とこびとたちが活躍するユニークな内容で、国内外で高い評価を受けています。特に、アメリカのホーンブック誌の2008年のベストブックスに選ばれました。他の作品には、『こうじのくるま』『まちのくるま』(WAVE出版)などがあり、精密な描写で知られています。ねじの1本まで描くことを信条としており、その緻密なイラストレーションが多くの読者に支持されています。また、2024年には射水市大島絵本館で原画展が開催されるなど、精力的に活動を続けておられます。コヨセさんの作品は、子どもから大人まで幅広い層に愛されており、その独特の世界観と精密なイラストレーションが魅力となっています。
おすすめ対象年齢
『おたすけこびととおべんとう』は、出版社のおすすめ年齢が3歳からとなっており、特に3歳から5歳の未就学児に適しています。働く車やこびとたちの活躍が描かれており、乗り物やファンタジーに興味を持つ子どもたちに楽しんでもらえる内容です。また、細部まで描かれたイラストは、親子で一緒に読みながら新たな発見を楽しむことができ、読み聞かせにも最適です。
レビュー
『おたすけこびととおべんとう』は、こびとたちが働く車を使って子どもにお弁当を届けるという、シンプルながら心温まる物語です。コヨセ・ジュンジさんの緻密で魅力的なイラストは、各ページに細かなディテールが詰まっており、子どもだけでなく大人も引き込まれます。特に、フェリーやショベルカーなどの働く車が登場し、乗り物好きの子どもたちにはたまらない魅力があるでしょう。また、こびとたちのチームワークや工夫が描かれており、協力することの大切さや楽しさを自然と学ぶことができます。シリーズを通して感じられる、誰かのために一生懸命働くことの喜びや達成感が、この作品でもしっかりと伝わってきます。親子で一緒に読みながら、物語の世界に浸る時間は、きっと素敵な思い出となるでしょう。