おたすけこびととあかいボタン/なかがわちひろ

『おたすけこびととあかいボタン』は、なかがわちひろが文を担当し、コヨセ・ジュンジが絵を手掛けたシリーズ絵本の一作で、2014年に発行されました。この絵本では、こびとたちが謎の「赤いボタン」を運ぶミッションに挑みます。緻密に描かれた働く車やこびとたちの工夫が光る場面が特徴で、読み聞かせにもぴったりです。小さなこびとたちが繰り広げるユーモラスなストーリーは、子どもも大人も楽しめます。

略歴

なかがわちひろ

なかがわちひろ(中川千尋)は、1958年に関東地方で生まれ、転勤族の家庭で育ちました。小学4年生の秋から中学3年生の秋まで仙台で過ごし、高校時代にはアメリカ・サンディエゴに1年間留学しました。東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業後、劇団テアトル・エコーの座付き翻訳者としてコメディの翻訳に従事しましたが、子どもの本に強い関心を抱き、福武書店児童書編集部での翻訳活動を開始しました。以降、児童文学の作家、画家、翻訳家として多彩な作品を手がけています。翻訳作品には『ふしぎをのせたアリエル号』や『ちいさなあなたへ』などがあり、創作絵本には『のはらひめ』や「おたすけこびと」シリーズなどがあります。受賞歴も豊富で、『どうぶつがすき』で日本絵本賞翻訳絵本賞、『天使のかいかた』で日本絵本賞読者賞、『かりんちゃんと十五人のおひなさま』で野間児童文芸賞を受賞しています。彼女の作品は、子どもの豊かな感性を育むものとして高く評価されています。

コヨセ・ジュンジ(絵)

コヨセ・ジュンジさんは、1949年生まれ、福岡県出身のイラストレーター・絵本画家です。セツ・モードセミナーを卒業後、雑誌『アン・アン』『オリーブ』『BMWバイクス』などでイラストレーションを手がけ、単行本の装丁や表紙画も担当されました。
絵本作家としては、なかがわちひろさん文の「おたすけこびと」シリーズのイラストを担当し、これが初の絵本作品となりました。このシリーズは、ショベルカーやブルドーザーなどの働く車とこびとたちが活躍するユニークな内容で、国内外で高い評価を受けています。特に、アメリカのホーンブック誌の2008年のベストブックスに選ばれました。他の作品には、『こうじのくるま』『まちのくるま』(WAVE出版)などがあり、精密な描写で知られています。ねじの1本まで描くことを信条としており、その緻密なイラストレーションが多くの読者に支持されています。また、2024年には射水市大島絵本館で原画展が開催されるなど、精力的に活動を続けておられます。コヨセさんの作品は、子どもから大人まで幅広い層に愛されており、その独特の世界観と精密なイラストレーションが魅力となっています。

おすすめ対象年齢

対象年齢は、3歳から6歳程度とされています。ユーモアたっぷりのストーリーや働く車が登場するため、特に車やこびとに興味を持つ幼児や未就学児におすすめです。絵本には詳細な絵が描かれており、小さなこびとたちの表情や工夫を見ることで、子どもたちの観察力や想像力が育まれます。繰り返し読むことで、新しい発見がある絵本です。

レビュー

『おたすけこびととあかいボタン』は、細部まで描き込まれたイラストとユーモアに満ちたストーリーが印象的な絵本です。こびとたちが協力して大きな荷物を探す姿は、子どもたちに「みんなで力を合わせることの大切さ」を自然に伝えてくれます。働く車の種類や道具の使い方もリアルで、乗り物好きの子どもにとっては新しい発見がいっぱいの一冊です。また、物語の最後に明かされる「赤いボタン」の正体には驚きと笑いがあり、親子で楽しめる展開でした。読むたびに新しい発見があり、子どもの想像力を刺激する工夫が随所に感じられる絵本だと思います。

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