
『ねこのピート だいすきなしろいくつ』(原題:Pete the Cat: I Love My White Shoes)は、アメリカの作家エリック・リトウィン(文)とイラストレーターのジェームス・ディーン(絵)によって2010年にアメリカで出版されました。日本語版は大友剛さんの翻訳、長谷川義史さんの文字画により、ひさかたチャイルドから2013年に発行されました。本作は、お気に入りの白い靴を履いたねこのピートが、どんなハプニングにも前向きに「うたをうたいながらあるきつづける」という姿を描いたリズミカルな絵本です。繰り返しの展開と歌で楽しめる構成になっています。
略歴
エリック・リトウィン
エリック・リトウィン(Eric Litwin)は、アメリカ・ニューヨーク生まれの児童作家、語り手、音楽家です。教育者としての経験を活かし、物語と音楽を融合させた作品を数多く手がけています。代表作「ねこのピート」シリーズは、彼の独自のリズム感と前向きなメッセージで世界的に人気を博しました。特に歌うように語るストーリーテリングが特徴で、読み聞かせや音楽活動にも積極的に取り組んでいます。現在はアメリカ各地でワークショップやパフォーマンスを行い、子どもたちと創造的な時間を共有しています。
ジェームス・ディーン(絵)
同姓同名の1950年代に活躍した俳優とは別人です。この絵本のイラストを手がけたジェームス・ディーン(James Dean)は、アメリカの現代アーティストであり、特に「ねこのピート」シリーズで知られています。彼はもともとエンジニアとして働いていましたが、芸術への情熱から画家に転身し、青い猫のキャラクター「ピート」を創作しました。このキャラクターが後にエリック・リトウィンとの共作で絵本シリーズとなり、世界的な人気を博しています。現在も子ども向けの書籍のイラストや執筆活動を続けています。
おおとも たけし(訳)
大友剛(おおとも たけし)さんは、日本の翻訳家、ミュージシャン、マジシャンです。マジックや音楽、絵本の楽しさとメッセージを全国の子どもたちに届ける活動を行っています。また、保育者や図書館司書、教育者向けの公演やセミナーも精力的に開催し、国内外で幅広く活躍しています。翻訳作品には『えがないえほん』(早川書房)、『ねこのピート だいすきなしろいくつ』(ひさかたチャイルド)、『カラーモンスター きもちは なにいろ?』(永岡書店)など多数があります。彼の活動は、子どもたちの創造力や表現力を育むことに寄与しています。
長谷川 義史(文字画)
長谷川義史(はせがわよしふみ)さんは、1961年大阪府藤井寺市生まれ。 グラフィックデザイナーからイラストレーターを経て、2000年に『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』で絵本作家としてデビューしました。 2003年には『おたまさんのおかいさん』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。また、2008年には『ぼくがラーメンたべてるとき』で日本絵本賞と小学館児童出版文化賞を受賞するなど、多くの作品で高い評価を得ています。
おすすめ対象年齢
本書は、2歳〜6歳頃の幼児から未就学児に特におすすめです。繰り返しのリズムと明るい絵柄、そして歌を取り入れた展開が小さな子どもの注意を引きやすく、言葉の発達や色の認識にもつながります。親子で一緒に声に出して楽しむ読み聞かせにも最適です。
レビュー
『ねこのピート だいすきなしろいくつ』は、明るくてポジティブなメッセージに満ちた絵本です。靴が次々に汚れて色が変わっていっても、ピートはまったく気にせず、前向きな歌を歌い続けます。変化を受け入れて楽しむという、シンプルだけど大切な心のあり方を、子どもにもわかりやすい形で伝えてくれる素敵な作品です。音楽と一緒に楽しむとより魅力が増し、リズムに乗って読むことで親子の読み聞かせの時間が一層楽しくなります。