ピッツァぼうや/ウィリアム・スタイグ

ウィリアム・スタイグ作、木坂涼訳の絵本『ピッツァぼうや』は、雨で外遊びができず不機嫌な少年ピートを楽しませようと、お父さんがピートを「ピッツァ」に見立てて遊ぶ物語です。ピートを生地のようにこねたり、トッピングを施したり、オーブン(ソファ)で焼くふりをするなど、親子のユーモアあふれる触れ合いが描かれています。原作名は『Pete’s a Pizza』で、1998年にアメリカで初版発行され日本語版は2000年に発行されました。

略歴

ウィリアム・スタイグ

ウィリアム・スタイグ(William Steig,1907年 – 2003年)は、アメリカ・ニューヨーク州ブルックリン生まれの漫画家、イラストレーター、彫刻家、児童文学作家です。芸術家一家に育ち、1930年からザ・ニューヨーカー誌などに漫画を掲載し、1600以上の作品を発表しました。1968年ごろ児童文学に転向し、『ロバのシルベスターとまほうのこいし』でコールデコット賞を受賞。他にも『アベルの島』や『歯いしゃのチュー先生』など、多くの名作を生み出しました。また、映画『シュレック』の原作『みにくいシュレック』の作者としても知られています。

木坂 涼(翻訳)

木坂 涼(きさか りょう)さんは、1958年、埼玉県生まれ。和光大学人文学部芸術学科を卒業後、博報堂に勤務されました。1981年、自費出版の詩集『じかんはじぶんを』で詩人としてデビューし、その独特な作風が注目を集めました。1987年には詩集『ツッツッと』で第5回現代詩花椿賞を受賞し、1997年には『金色の網』で芸術選奨文部大臣新人賞を受賞されています。詩人としての活動に加え、エッセイスト、絵本作家、翻訳家としても幅広く活躍されています。特に、創作絵本や海外の児童文学の翻訳に力を入れており、代表作には『みんなおっぱいのんでたよ』(福音館書店)や『あいうえたいそう』(偕成社)などがあります。また、翻訳作品としては、ウィリアム・スタイグの『ねずみの歯いしゃさんアフリカへいく』やシムズ・タバックの『ヨセフのだいじなコート』など、多数の絵本を手掛けています。現在も、詩や絵本の創作、翻訳を通じて、子どもから大人まで幅広い読者に親しまれる作品を提供し続けています。

おすすめ対象年齢

『ピッツァぼうや』は、3歳から6歳の幼児を主な対象としています。親子の触れ合いやユーモアを描いており、読み聞かせを通じて親子のコミュニケーションを深めるのに適した作品です。また、子どもの想像力や遊び心を刺激する内容となっています。

レビュー

本作は、親子の何気ない日常をユーモアたっぷりに描いており、読者に温かい気持ちをもたらします。お父さんの機転と遊び心が、不機嫌だったピートの笑顔を引き出す様子は微笑ましく、親子の絆の大切さを感じさせます。シンプルなストーリーながら、子どもだけでなく大人も楽しめる作品であり、読み聞かせを通じて親子のコミュニケーションを深めるきっかけとなるでしょう。

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