ピッキーとポッキー/あらしやま こうざぶろう

『ピッキーとポッキー』は、あらしやまこうざぶろうさん作、安西水丸さん絵による楽しいお花見絵本です。1993年に福音館書店から刊行されました。森に住むうさぎのピッキーとポッキーは、もぐらの友だちと一緒にお花見へ出かけます。リズミカルでテンポのよい文章と、安西水丸さんのシンプルで味わいのあるイラストが物語の魅力を引き立てています。子どもたちの想像力を刺激する、楽しく心温まる一冊です。

略歴

あらしやま こうざぶろう

あらしやま こうざぶろう(嵐山 光三郎、本名:武藤 康史)は、1939年静岡県生まれの作家・随筆家・編集者です。早稲田大学卒業後、編集者として活躍し、のちに作家として独立。『ピッキーとポッキー』などの児童文学から、大人向けのエッセイ、小説、料理エッセイなど幅広い分野で執筆しています。ユーモアと人間味あふれる文体が特徴で、文化人や文士に関する作品にも定評があります。近年では『文士の料理店』や『悪党芭蕉』などの著書でも知られています。

安西 水丸(絵)

安西 水丸(あんざい みずまる)さんは、1942年に東京で生まれ、2014年に亡くなるまで、イラストレーターや絵本作家、エッセイストとして活躍しました。彼の作品は独特のシンプルで温かみのあるスタイルが特徴で、現代日本のイラスト界において重要な役割を果たしました。安西さんは、日本大学芸術学部を卒業後、広告代理店に勤務しましたが、後にフリーのイラストレーターとして活動を始めました。1980年代には村上春樹との親交が深まり、彼の小説の装画や挿絵を担当するなどして大きな注目を集めました。『風の歌を聴け』や『1973年のピンボール』などの初期作品のビジュアルを手がけ、村上作品の世界観をより豊かに伝えることに貢献しました。また、安西さんは絵本作家としても多くの作品を発表しています。その中でも『がたん ごとん がたん ごとん』や『おでんさむらい』シリーズなどは、特に子どもたちに親しまれました。シンプルな構図と鮮やかな色彩で描かれた絵本は、幼い読者にも分かりやすく、親しみやすいものでした。エッセイ執筆やコラム連載、雑誌への寄稿なども積極的に行い、彼独特のユーモアや感性が光る文章も多くのファンに支持されました。また、イラストレーターとして広告や装丁、雑誌の表紙など幅広い分野で活躍しました。彼のイラストは、シンプルながらもどこか懐かしさを感じさせる作風で、日常の何気ない瞬間をユーモラスに切り取る才能がありました。安西水丸さんの作品は、シンプルで温かみがありながらも、どこか味わい深い世界観を持っています。

おすすめ対象年齢

『ピッキーとポッキー』は、主に2歳から4歳頃の幼児を対象とした絵本です。お花見という身近なテーマに加え、言葉のリズムや繰り返しの楽しさもあるため、読み聞かせにもぴったりです。幼稚園児にもちょうどよい長さと内容で、想像力を刺激する場面がたくさんあります。

レビュー

『ピッキーとポッキー』は、読んでいて思わず笑顔になるような楽しい絵本です。ピッキーとポッキーのやり取りや、不思議でユーモラスな冒険の展開にワクワクさせられます。安西水丸さんの柔らかい線と独特の色使いは、物語の世界観にぴったりで、読者を優しく包み込んでくれます。また子どもたちの心を自由に羽ばたかせてくれます。親子の読み聞かせにぴったりの、長く愛される名作だと思います。

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