こねこのみつけたクリスマス/マーガレット・ワイズ・ブラウン

『こねこのみつけたクリスマス』は、マーガレット・ワイズ・ブラウンが文を手がけ、アン・モーティマーが絵を描き、中川千尋さんが翻訳した絵本です。原作の英語タイトルは『A Pussycat’s Christmas』で、アメリカ合衆国で1994年に出版されました。日本語版は同年、ほるぷ出版から刊行されています。この絵本は、クリスマスの夜に子猫が体験する冒険と喜びを、美しいイラストとともに描いており、読者に温かい気持ちを届けてくれます。

略歴

マーガレット・ワイズ・ブラウン

マーガレット・ワイズ・ブラウン(Margaret Wise Brown, 1910-1952)は、アメリカを代表する児童文学作家で、多くの子どもたちに愛される絵本を生み出しました。特に『おやすみなさい おつきさま』(Goodnight Moon)は、彼女の代表作として知られています。ニューヨーク生まれのブラウンは、幼少期から動物や自然への関心を持ち、のちにホリンズ大学で教育を学びました。後、教師として働きながら執筆活動を開始。彼女の作品は、シンプルでリズミカルな言葉遣いと、子どもの感性を捉えた内容が特徴です。若くして急逝しましたが、その作品は今もなお、多くの読者に親しまれています。

アン・モーティマー

アン・モーティマー(Ann Mortimer)は、イギリス出身のイラストレーターで、特に動物や自然を題材にした繊細でリアルなイラストで知られています。彼女はこれまでに多くの絵本を手がけ、その美しい描写で高い評価を得ています。代表作の一つである『こねこのみつけたクリスマス』では、マーガレット・ワイズ・ブラウンの文章に合わせて、クリスマスの夜に子猫が体験する冒険と喜びを美しいイラストで表現しています。

なかがわちひろ(訳)

なかがわちひろ(中川千尋)さんは、1958年に関東地方で生まれ、転勤族の家庭で育ちました。小学4年生の秋から中学3年生の秋まで仙台で過ごし、高校時代にはアメリカ・サンディエゴに1年間留学しました。東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業後、劇団テアトル・エコーの座付き翻訳者としてコメディの翻訳に従事しましたが、子どもの本に強い関心を抱き、福武書店児童書編集部での翻訳活動を開始しました。以降、児童文学の作家、画家、翻訳家として多彩な作品を手がけています。翻訳作品には『ふしぎをのせたアリエル号』や『ちいさなあなたへ』などがあり、創作絵本には『のはらひめ』や「おたすけこびと」シリーズなどがあります。受賞歴も豊富で、『どうぶつがすき』で日本絵本賞翻訳絵本賞、『天使のかいかた』で日本絵本賞読者賞、『かりんちゃんと十五人のおひなさま』で野間児童文芸賞を受賞しています。彼女の作品は、子どもの豊かな感性を育むものとして高く評価されています。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、3歳から5歳の幼児から小学校低学年のお子さんにおすすめです。シンプルな文章と魅力的なイラストが、小さなお子さんの興味を引きつけ、クリスマスの雰囲気を楽しむことができます。

レビュー

『こねこのみつけたクリスマス』は、クリスマスの魔法と子猫の好奇心が見事に融合した作品です。アン・モーティマーの細やかなイラストは、クリスマスの温かさと子猫の愛らしさを余すところなく伝えています。中川千尋の翻訳も、原作の魅力を損なうことなく、日本の読者に届けています。クリスマスの季節に親子で楽しめる一冊として、ぜひ手に取ってみてください。